国内で急速に人気が高まってきたスマートフォンで、米グーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」のモデルが存在感を発揮している。
携帯通信大手3社はそれぞれ、アンドロイドモデルを開発、年末商戦の目玉として投入した。「お財布機能」をはじめ、日本がこれまで培ってきた技術を取り入れた機種も出るなど、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」には見られない魅力で利用者増を狙う。
メーカーに無償提供、独自性がカギ
デジタル家電のランキングサイト「BCNランキング」によると、2010年11月の携帯電話ランキングは、「au」ブランドのKDDIのスマートフォン「IS03」が首位に立った。4か月連続トップだった「アイフォーン4」を、アンドロイドOSの機種が阻止したことになる。
2010年前半は、タブレット型の多機能情報端末「iPad」やアイフォーン4を立て続けに発売したアップルが主役だったが、後半になると携帯電話メーカー各社は「反撃」とばかりに、アンドロイド機種を一斉に投入し始めた。韓国サムスン電子製「ギャラクシーS」が快調なNTTドコモは、年末向けにシャープ製の「リンクス」やタブレット型の「ギャラクシータブ」を発売。アイフォーンを販売するソフトバンクモバイル(SBM)も、新製品の「ガラパゴス」などアンドロイド端末の品揃えを厚くしている。
グーグルはアンドロイドを無償で提供しているため、国内、海外問わず採用するメーカーが増えているようだ。メーカーにとっては独自でOSを開発するのに比べてコストを安く抑えられるメリットがある。一方で、基幹部分のOSが他社製品と同じになるので、別の部分でいかに特色を出せるかがヒットのカギになりそうだ。例えば「ギャラクシーS」は、有機ELを採用した鮮やかなディスプレーや、優れたデザイン性が消費者に受け入れられた。「IS03」のように、従来の携帯電話で人気だった「お財布機能対応」や「ワンセグ」を取り込んだものや、3D映像を見られる点をセールスポイントにするモデルもある。個性を出さないと、次々と登場するアンドロイド端末の中で埋もれてしまわないとも限らない。