家庭用燃料電池の「エネファーム」を設置する住宅が増えている。導入コストに300万円超かかるが、いまなら1台あたり上限130万円の、国による民生用燃料電池導入支援事業の補助金が利用できることに加えて、ハウスメーカーが「エコ住宅」の販売促進に力を注いでいること、また住宅エコポイントが併用できることなどが「追い風」になっている。
さらに最近は太陽光発電との「W(ダブル)発電」によって、「売電」効果が高まることが大きなメリットとして注目されている。家庭でできる地球温暖化防止やCO2削減策では、電力会社がオール電化住宅や「エコキュート」を推進、ガス会社も「エネファーム」を強力に推している。
ハウスメーカーとの「二人三脚」が奏功
日本ガス協会によると、2009年度の販売実績はガス会社大手4社で3800台に達した。大阪ガスの場合、販売目標の1300台を突破し、全体の約3分の1を占めるなど好調で、10年度も引き続き力を入れている。
大阪ガスによると、2010年度の販売目標は1700台以上。これに対して、12月9日までの販売実績は1614台で、「目標の達成はほぼ間違いない」と話す。
東京ガスは10年度の販売目標を2500台に設定。4~10月期で2300台を成約。「ほぼ計画どおりに推移しています」と、こちらも目標達成に自信をみせる。
好調な背景には、消費者の「エコ住宅」への関心の高さがある。国の住宅エコポイント制度の後押しもあって、ハウスメーカーが「エコ住宅」の販売に力を入れているせいもあるが、「子どものために10年後、20年後を見据えた家づくりを考える方が増えているようで、エコ意識の高まりを感じます」(東京ガス)というほどだ。
現在、エネファームを設置した住宅の多くは新築の戸建て住宅で、それらはハウスメーカーとの「二人三脚」の推進によるもの。大阪ガスでは、「エネファームは先進的で環境にやさしいということでハウスメーカーの評価も高い。『自宅で発電する』という、新しいイメージを打ち出せたガス機器はこれまでになかった」と胸を張る。