年の瀬が近づき、慌しい日々を送る中でそろそろ気になりだすのが年賀状の準備だ。
複数の調査によると、遠く離れた友人や、日ごろ面倒を見てもらっている会社の上司などと良好な関係を継続したいという思いが、年賀状を出す大きな動機となっているという。受け取る側も好印象を持つとの結果もあり、人間関係を深めるうえで年賀状の効果のほどがうかがえる。
部下からの年賀状に上司は「親しみ」「好意」
新年の挨拶をメールで済ます人はいるだろう。最近では、SNSやツイッターを使えば、友人だけでなくネット上の不特定多数の人に向けても「あけましておめでとう」と伝えられる。
それでも、年賀状にこだわる人は少なくないようだ。マーケティング調査を手がけるM1・F1総研が実施した調査によると、20~34歳の男性(M1)、女性(F1)は、その上の世代である35~49歳男性(M2)、女性(F2)と比べて年賀状をあまり出さない傾向にあったようだが、2011年の年賀状は多めに出したい、と思っている人が増えているという。
送り先は男女とも「とても親しい友人」が、それぞれ76.4%、90.5%と圧倒的に多いが、M1では2番目に「会社の上司」がランク入りしている。これは、年賀状を出す理由に関係ありそうだ。M1層は、理由の首位が「旧年中にお世話になった方への挨拶をしたいから」となっている。業務で日々顔を合わせ、仕事を教えてもらう上司にはきちんと感謝を示そうという思いが、年賀状の送付につながっている。
目上の人に対する年初の挨拶だけに、元日に届くようにしたい。そのためには12月25日までに年賀状を投函する必要がある。仕事納め前の多忙な時期をやりくりして上司に年賀状を出そうというのだ。
受け取る側にも気持ちは伝わるようだ。日経BPコンサルティングが行ったアンケート調査を見ると、年賀状を送ってきた部下に対して上司は、40.6%が親しみを、36.4%が好意を感じると回答。1枚の年賀状が、上司と部下の関係にプラスに働くことは間違いない。
連絡が途絶えていた知人と交流が復活
年賀状は、交流のバロメーターにもなりうる。M1・F1総研の調査によれば、「友人・知人と交流がなくなったと思うとき」との質問に対して、「年賀状のやりとりがなくなったとき」という人が多かった。M2、F2層では、実際に会う機会が減ったり、携帯メールのやり取りがなくなったりした場合よりも、年賀状交換がなくなる方が「交流断絶」の決め手になるようだ。M1、F1層も、ツイッターやSNSといったネット上の関係が途切れるより、年賀状のやり取りが絶えることで、交流がストップしたと感じる人がずっと多い。
年賀状を出す人は、積極的に人間関係を広めたいタイプとの結果も出た。一時連絡が途絶えていた知人と交流が復活したり、人脈を広げるきっかけとなったりという効果もあるようだ。人とのつながりや絆を強めるうえでは、手軽なネット上のメール交換よりも多少手のかかる年賀状を送りあうことが大切だ。そんな考えが年齢を問わずに浸透しているようだ。