「ベーシックな商品の開発を強化する」
吉野家こそ、かつてはデフレの勝ち組だったはずだが、今や「すき家」に店舗数、売上高、利益などでも抜き去られ、「負け組」の評価が定着してしまっている。国内では向かうところ敵なしのユニクロが吉野家のようになることにはならないだろうが、2010年8月期連結決算で最終利益が過去最高を更新したことから一転、11年8月期は17%減と4期ぶりの最終減益を見込んでいるのも事実だ。
柳井正会長兼社長は10月の決算発表会見で、国内既存店の不調の原因について「表面的なファッションを追う製品を作ってしまった」と反省の弁を述べた。春先からファッション性を高めて装飾に凝った衣類を発売したことが、ユニクロらしいシンプルさを損ねた、との考えを示したものだ。このため「ベーシックな商品の開発を強化する」として商品構成の見直しに着手したことを明らかにした。その具体的な成果が出るのは来年になるが、人を引きつける「ユニクロらしさ」を取り戻せるか、注目される。