通勤ラッシュ時のJR総武線で47本も運休するトラブルがあったことについて、2ちゃんねるなどで誰が悪かったのか論議になっている。車内でケータイ使用を巡って口論があったようだが、多くの乗客が迷惑した運休の原因は、だれかが非常停止ボタンを押したことにあるのではないか、といった意見も出ているのだ。
「総武通勤電車でけんか、7万人迷惑…原因は携帯」
「通勤電車で乗客が携帯めぐり大ゲンカ 47本運休で7万人迷惑」
「車内で携帯電話使った人が悪い」説もあるが…
新聞各紙が2010年12月7日付サイト記事に掲げた見出しだ。これを見ると、車内でマナー違反を巡るけんかが運休のきっかけとなった印象を受ける。ところが、2ちゃんねるでは、このニュースのスレッドが立つと、むしろ、こうしたけんかで非常停止ボタンを押すことの是非についての議論が盛り上がっているのだ。
車内で携帯電話を使った会社員男性をA、それに注意した会社員男性をB、さらに停止ボタンを押した別の乗客をCとして、こんな書き込みが相次いでいる。
「Cが圧倒的に悪い、こういう独善的な奴イライラする」
「Cは仲裁が面倒でボタン押しやがっただろ」
「A、Bは双方同士の問題であって電車を停止した罪はない」
これらは、2ちゃんのまとめサイト「ニュー速VIPブログ」などで簡潔にまとめられている。このほか、急病人が出たとき以外はボタンを押すな、次の駅でけんかの2人をつまみ出したらいい、ボタンを押すのは自分勝手な善意に過ぎないといった意見があるようだ。
もっとも、そもそもけんかの原因になったAが悪いという意見も多い。
「Aが注意された時点で携帯やめてれば済んだ話」
「いけないってルール破った上に 注意した人に切れてるんだろ」
「万が一でも殺人や傷害事件に発展する可能性もあるし Cは悪くない」
また、Cに責任を求めると、緊急時にボタン押してくれなくなる、といった心配の声もあった。
誰が悪いと決めつけることは難しい?
このほか、少なめながらも、Bが電話の終わるまで待つなど注意の仕方によってけんかにならなかったとの指摘もあった。真偽は不明なものの、2ちゃんやツイッターの書き込みでは、総武線では、毎朝のように車内での携帯利用者に「電源を切れ!」などとわめくので有名なクレーマーがいる、との情報も出ている。
さらに、車内けんかで47本も運休させたJRも悪いとの声もあるようだ。トラブルを迅速に処理できなかったのは、プロの仕事ではないというわけだ。
実際のところ、運休した本当の原因はどこにあるのか。
JR東日本千葉支社に取材したところでは、電車が市川駅に到着したとき、いきなりホームの警告ブザーが押された。駅員が現場に行ったものの、けんかの2人は駅員に従わず、市川署員が駆けつけてようやく電車から降りた。さらに、ホーム上にあふれた乗客の安全確認などにも時間がかかったというのだ。
結局、誰が悪いのかについて、広報担当者は、「トラブルについては警察で調べていますので、誰が悪いかについては特定できません」という。運休などに伴う損害賠償については検討中というが、ブザーを押した乗客は誰か分からず、たとえ分かったとしても賠償を請求できないとしている。
そこで、捜査に当たった市川署に取材すると、副署長は、ただの口論であって事件にはならず、誰が悪いかについては、単なる憶測に過ぎないと言う。
「確かに、非常停止ボタンが押されたので、長引いたことはあります。また、マナー違反を注意された男性から携帯電話で110番通報があり、警察が現場に行かざるを得ないような状況もありました。注意した男性から強く言われ、面白くなかったから通報したのでしょう。JRは、機器の点検などで異常がないことを確認しないと発車できないはずですよ」
いずれにせよ、運休による迷惑について、誰が悪いと明確に決めつけることは難しそうだ。