内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ代表(39)の逮捕が話題となっている。「強姦」「性的暴行」の疑いなどと報じられているが、被害女性の1人の主張は「コンドームが破れたから」だとする海外報道もある。同サイトは各国政府にとって不都合な資料の「暴露」を続けているだけに、今回の逮捕は「別件逮捕」で、政治的な陰謀では、との見方も出ている。
「エッ! これが被害の内容ですか? これで国際手配されますかねえ」。赤江珠緒キャスターは、情報番組「スーパーモーニング」(2010年12月8日放送)でこう感想をもらした。
スウェーデンメディアも「レイプ」と報道
アサンジ代表逮捕について、番組が英紙報道などをもとに説明した内容を聞いての反応だ。説明では、被害女性2人のうち1人は「(アサンジ代表との)性行為中にコンドームが破れた」、1人は「夜はコンドームをつけてしたが、翌朝はつけてくれなかった」と主張しているのだという。
また、性行為自体は同意の上でも、女性からのコンドーム装着要求に応じなかった場合訴えることができるという法律が現地のスウェーデンにあるという英語圏報道もある、とも番組は伝えた。もっとも、この「法律論」は、アサンジ代表が国籍をもつオーストラリアで、アサンジ代表を擁護する弁護士が皮肉として豪メディアに語った内容から広がった誤解だ、とする説もある。
国際手配されイギリス国内で逮捕された同代表に対し、逮捕状を出していたのはスウェーデン当局だ。スウェーデンのメディアはどう報じているのか。スウェーデン語に詳しい日本人にきくと、「日本の法律用語は分からないが、今ネットで読んだスウェーデンメディアが逮捕のニュースで見出しに使っている単語は、英語でいえば『レイプ』ですね」と解説した。
ロイター電子版(ワシントン 12月7日)によると、スウェーデンの2被害女性は、当初は告訴するつもりはなく、同代表に性病検査を受けさせたいと警察に相談しただけだ、と報じた。ただ、情報源は同代表周辺の「複数の人物」のようだ。同代表は携帯電話を切っており、2人の女性は連絡が取りにくかったようだと説明している。
「政府機関による国際的な陰謀」説
同記事によると、女性2人の弁護士は、同代表にかけられた容疑は、コンドーム未着用の性交渉を強要したことと、性病検査を拒否したことと関連していると説明したという。
肝心のスウェーデンの法律の規定がはっきりしないため、今回のようなケースでも強姦容疑を問うことができる法律条文が実際にあり、逮捕は自然な流れなのか、それともスウェーデン当局が強引に強姦容疑を適用しようとしているのか判然としない。
逮捕容疑内容がはっきりしないことに加え、一連のウィキリークスの米公電暴露の衝撃などから、「今回の逮捕は政府機関による国際的な陰謀」との説もネット上では見受けられる。関連の英語報道記事のコメント欄には、多数の「CIA陰謀論」も寄せられている。
12月8日放送のスーパーモーニングでは、作家の若一光司が「何らかの意図があっての訴えだとの見方も一部である」と指摘した。小木逸平アナが、容疑は容疑としても国際手配するほどの事件なのかと疑問を呈した上で、今回の逮捕はアサンジ代表に対する国際的な「包囲網」では、との見方を示すと、赤江キャスターは「完全にそうじゃないですか」と「包囲網」説に賛同した。
アサンジ代表は容疑を否認していると伝えられている。