高橋洋一の民主党ウォッチ
国税庁調査の数字使えば 公務員給与は5.5%減になる

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新設公務員庁は、看板の掛け替え?

   たとえば、先の国会で成立した給与関連法は、10年8月の人事院勧告通りであるが、その基礎表には、民間給与(除くボーナス)は、月収39万4909円と書かれている。年収に換算すると473.9万円になる。ところが、9月に国税庁から公表された調査では、349.7万円である。人事院勧告の1.5%減に対応する国税庁調査の数字は5.5%減である。本当に額の水準まで合わせるなら、26%減である。これをやれば、民主党公約の2割減が達成できる。

   さらに、人事院調査の対象は、正規職員給与だが、国税庁調査では非正規職員給与も含まれている。この点、政府は正規と非正規を均等扱いすべき立場であるので、人事院調査が正規だけを対象にしていることはおかしい。

   看板の掛け替えで、こうした甘い調査が温存されたら国民のためにならない。冒頭の改革素案でも、「民間の給与等の実態を調査・把握する主体は、交渉主体である使用者機関とする」という文言があり、今の人事院調査が継続されることが示唆されている。

   いっそのこと、この調査を国税庁調査で代用すれば、議論も公平になるし、行政コストの節減にもなる。ちなみに、国税庁調査は民間に委託されており、コストは安い。

   看板の掛け替えになると、ポストの固定化にもなる。人事院の首脳ポストは、役人の天下り先であるとともに、マスコミの指定席になっている。これらも温存されると、マスコミからの批判も出てこなくなる。もっと国民がしっかりしないといけない分野だ。

   今回の改革案について、人事院の廃止などをことさら強調するマスコミがあれば、疑ってみる必要があろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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