高橋洋一の民主党ウォッチ
国税庁調査の数字使えば 公務員給与は5.5%減になる

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   先の第176回国会(臨時国会)は2010年12月3日に閉会した。内閣提出法案37本のうち成立したのは14本、38%と過去に記憶ないほど低い成立率だった。この14本のうち給与関連法が5本である。

   菅直人総理は、民主党代表選では、人事院勧告を上回る引き下げと意気込んでいたが、国会に出てきた給与関連法では人事院勧告通り1.5%減と人事院勧告通りと、支持母体の労組に配慮して腰砕けだった。そのとき、11年の次期通常国会に新たな給与法改正案を提出し、11年度の国家公務員給与を勧告より下げる意向を示しはした。

民間企業の給与調査、人事院と国税庁で「差」

   12月6日、明らかになったのは、その前提である国家公務員制度改革の基本となる「自律的労使関係制度に関する改革素案」である。これで、労使交渉による給与改定を実現しようとしている。

   その内容は、国家公務員の労働基本権のうち、労働協約を結ぶ「協約締結権」を、各省の次官・外局長官や、警察など治安関係職員を除く非現業職員に付与する。これに伴い、国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を廃止し、労働組合との交渉窓口となる「公務員庁(仮称)」を新設するとしている。

   協約締結権の付与は妥当な方向だ。私も安倍政権のときに官邸で公務員改革をやっていたが、そのときも協約締結権付与で人事院廃止という結論だった。

   しかし、問題は、新設される公務員庁が従来の人事院の単なる看板の掛け替えになるという不安だ。役人の常として、新たな組織を作るときにはポストが増える。労使間トラブルの処理のための「第三者機関」も別途独立させるといったことになれば、役人お得意の焼け太りとなるかもしれない。

   給与関係で人事院の仕事というと、そのキモは人事院勧告で、それは民間給与調査(職種別民間給与実態調査)が重要だ。人事院は、国家公務員がストライキできないなど労働基本権で制約を受けているので、その代償措置として設けられている中立的かつ独立性の強い機関である。そのためなのであろうか、その調査がこれまで甘かった。

   人事院の調査は、優良大企業に偏っている。事業所従業員数50人以上の企業を調査しているというが、調査数1万社のうち500人以上の企業は4000社程度、100~500人の企業は4000社程度、50~100人の企業は2000社程度となっている。

   一方、国税庁でも、同じような調査(民間給与実態統計調査)を行っている。その調査では、従業員1人以上の企業を調査し、調査2万社のうち500人の企業は8000社程度、100~500人の企業は3000社程度、100人未満の企業9000社程度を調査している。その結果、人事院調査での民間給与は国税庁調査より高くなっている。

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