「円高リスク」ますます高まる
とはいえ、バンカメは米銀最大手だ。日本のメガバンクがそうであったように、ツービッグ・ツーフェイル、「大きくて潰せない」ことがあってもおかしくはない。
リーマン・ショックのときに、メリルリンチやカントリーワイドを救済し、また公的資金を資本注入している経緯もあり、「米政府も、なにかあったら助けないわけにはいかないはず」との見方がないわけではない。
しかし、前出の枝川二郎氏は「買い戻し訴訟のリスクを抱えているのは、なにもバンカメだけでない。米住宅市場は価格がまだまだ弱含みなので、経済全体がよくない中で訴訟リスクの広がりが新たな問題になる」と指摘する。
損失が広がるモーゲージ債券は、いわば不良債権。多くの米銀でその処理が滞れば、かつての日本のように信用収縮(貸し渋り)が起こり、資金が必要な人に回らなくなる。そうなると、米国では金融の量的緩和の長期化や追加措置がとられる。ドルが売られ、円高リスクが高まって、日本経済も大ピンチというわけだ。