インターネットオークションサイト「ヤフー!オークション」でゴキブリが売られているとネットで話題になっている。「気持ち悪い」「イタズラじゃないか?」などと騒然となったが、実はこのゴキブリ、日本で今、カメレオンといった爬虫類やアロワナなど観賞魚のエサとして飼育したり、ペットとして飼ったりする人も急増しているのだという。
「ヤフオク」内を検索すると、生きたゴキブリを出品する複数のオークションが見つかる。そこには、「デュビア・ゴキブリがオススメ!(ペットの)食い付き方にはびっくりです」などと説明があり、約3センチのものが1匹30円で、100匹だと2500円と値段が書かれている。
欧米ではエサとして飼育されている
日本でゴキブリといえば、台所などに突然出没する黒光りし羽を持った生き物という印象強く、殆どの人が大の苦手にしている。しかし、ヨーロッパなど海外に目を向けると、ゴキブリは「ローチ」と呼ばれ、ペットのエサや観賞用になっているというのだ。その「文化」が日本でも注目されている。
飼育素材専門店「ハートロギ&PONY」のオーナー・吉岡威さんによれば、まず、ゴキブリが爬虫類、両生類、アロワナなどのエサとして日本で注目されてきたのがここ1、2年のことだという。それまでは、飼い主達は昆虫のコオロギをエサとして買い、家で飼育していたのだが、数が足りず、管理が難しいため時には大量死させていた。欧米に目を向けるとエサとしてゴキブリが使われていて、それを知った飼い主がまず飛び付いた。
「ペットは生きている虫しか食べません。その点ゴキブリは、水やエサをあげなくても1、2週間生きたりしますし、家に出るゴキブリと違って、ショップで売っているものは汚いものではありません。コオロギよりゴキブリにする飼い主が増えているのは、そういうことなんです」
希少な生き物を飼っている満足感
日本で売られているエサ用のゴキブリは90%以上が海外からの輸入で、南米、中南米、アフリカが主流。ちゃんとしたエサを与えて管理してから販売するため、野生のカブトムシよりもキレイな状態という。家で育てる場合もコオロギより遙かに手間がかからず、また繁殖能力も高く1回で20~30産卵する、と吉岡さんは説明する。
ペットのエサとしてだけでなく、ゴキブリ自体をペットとして飼う人も増えているという。ヨーロッパではペットとして飼育するのはさほど珍しくない国もある、とし、吉岡さんは
「多摩動物園でもペット用に飼われるゴキブリを飼育していますが、そうしたゴキブリはあまり見たことのない色や形をしています。飼う人は希少な生き物を持っている満足感と愛情を感じているようです」
と打ち明ける。ゴキブリだとわからないものもあって、飼う人達はカブトムシやクワガタに夢中になるのと同じような感覚で接しているという。「珍しい生き物を飼いたい」というところからゴキブリに行き当たる人が多いようで、ペットとして飼われるゴキブリの種類にはディスコイダリス、アトロポス、ヨロイモグラゴキブリ、体長7センチにもなるマダガスカルオオゴキブリなどがある。ショップによって値段は異なるが、1匹100円から1万円以上のものまである。今後もゴキブリ人気が拡大していくのか興味あるところだ。