国際線への参入を突然表明して驚かせたスカイマークが、今度は会社更生手続き中の日本航空(JAL)を退職したパイロットや客室乗務員(CA)を約470人採用する方針を発表した。
同社は超大型旅客機「エアバスA380型機」で国際線に参入する予定で、「ビジネスモデルの転換を迫られる」などと懸念する声もあがっており、急拡大路線に注目が集まっている。
パイロットも客室乗務員も「ほぼ倍増」
スカイマークが2010年12月1日に発表した内容によると、採用する内訳はパイロット(機長、副操縦士)約120人、整備士50人、客室乗務員約100人。スカイマークでは、特に「いつまでに何人を採用する」といった期限は設けないとしているが、CAについては、2013年までに最終的に合計300人程度の採用を計画している。
スカイマークが公表している有価証券報告書によると、10年3月末時点で、パイロットは他社から出向してきている外国人を含めると142人、CAは393人いる。いわば、パイロットもCAも「ほぼ倍増」させる形だ。
この背景にあるのが、同社が11月8日に発表した国際線路線への参入だ。世界最大級のA380を最大6機導入し、14年度をメドに北米や欧州路線への参入を目指している。そのための人員増強という面が強いといえる。
だが、この「拡大路線」には、危うさを指摘する声もある。ひとつが、財務面だ。同社の業績予想では、11年3月期の売り上げが565億円、純利益55億円を見込んでいるが、A380の価格は1機約280億円。単純計算すると1680億円が必要になり、増資や銀行からの新たな借り入れが必要となる。市場はこのことを嫌い、発表翌日の11月9日には同社株はストップ安を記録した。
もうひとつが、ビジネスモデルの大きな転換を迫られることだ。一般的には、スカイマークなどの格安航空会社(LCC)は「使用する機種を少なくした上で整備費用を抑え、小型機で短距離路線を多く飛ばして収益を上げる」というビジネスモデルが主流だ。
スカイマークも、現段階で就航しているのはボーイング737-800型機(177人乗り)のみだ。ところが、今回導入が発表されたA380は、標準で525席、エコノミークラスのみの設定では853席という「超巨大旅客機」だ。