米パン焼き機「ゴパン」異常人気 三洋電機の底力見せつける

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   三洋電機が「家庭にあるお米でパンを作ろう」をキャッチフレーズに開発した世界初のホームベーカリー(家庭用パン焼き機)「GOPAN(ゴパン)」が予想を上回る人気となり、予約受け付けを2010年12月1日から中止することになった。

   三洋は「予定していた数量を大幅に上回る引き合いを頂き、生産が追い付かない状況になった」と説明。「今後は増産体制を視野に入れて対応する」としており、2011年4月頃には受注を再開する予定という。

発売開始1カ月足らずで受注5万8000台超える

   政府のエコポイントの対象商品でなくても、アイデアしだいで日本の家電メーカーにもヒット商品を生みだす可能性があることをゴパンは証明してみせた。三洋はパナソニックの完全子会社となり、家電製品から「SANYO」ブランドが消滅することが決まっているが、同社の技術と商品開発の底力を見せつける結果ともなった。

   ゴパンは文字通り、ご飯のように手軽にパンが焼ける革命的な商品として、2010年7月に発表された。

   目新しさから、店頭価格は5万円前後とホームベーカリーとしては高価なものの、反響は大きく、販売店には発売前の事前予約が殺到。発売時期を当初予定の10月8日から11月11日に延期した経緯がある。発売当初は5000台を在庫として用意する計画だったが、倍増の1万台程度を用意する必要に迫られたためだ。

   ところが、その後も販売店には予約が殺到し、「発売開始から1カ月にも満たない現時点で、既に11年3月までの販売計画(5万8000台)を超えた」という。これだけの受注を抱えては、工場をフル稼働させても、商品納入には数カ月かかるという。年末商戦に向け、さらなる受注の積み増しも予想されるため、三洋としては「苦渋の選択」をせざるを得なかったようだ。

研究・開発に7年を費やす

   三洋は米からパンを作るゴパンの研究・開発に7年を費やしたという。米からパンを焼く機器はライバルメーカーも実用化できなかった。米は硬いため、米粉状に粉砕するのは困難だったためだが、三洋は「炊飯時のように米を粒の状態で水に漬けて柔らかくしてからミルにかけるという、これまでの常識を覆した『米ペースト製法』を開発」することで、実用化したのだ。三洋はゴパンの普及が「消費者の米の潜在需要を掘り起こす」とみているが、一連の受注を見る限り、その予想は的中したとも言える。

   今回の受注中止について、三洋は「ご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます」とコメント。「現在、店頭で注文を受けている顧客への対応を最優先にし、2011年3月頃を目途に商品の引き渡しを順次進めていく」としている。三洋は生産を委託する中国の工場の製造ラインを新設して生産能力を高め、11年4月には商品供給を正常化させる方針だ。

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