民主党の今度の「失言」は、皇室が関係する内容だった。同党の中井洽・前国家公安委員長が国会で来賓の秋篠宮ご夫妻に「やじを飛ばした可能性がある」として、自民党は中井氏の処分を求めた。失言による法相辞任など、民主政権は失言の連鎖で崩壊寸前の様相をみせている。
自民党は2010年12月1日午前、衆院議院運営委員会理事会で、中井氏を処分するよう要求した。中井氏が、国会内で秋篠宮ご夫妻にやじを飛ばした可能性がある、と指摘している。新聞社などの報道をみると、1日段階でも中井氏の名前を伏せている社と出している社があり、対応は分かれている。
「『早く座れよ』と野次を飛ばす始末」
発端のひとつは、参院本会議場で2010年11月29日にあった議会開設120年記念式典での様子を桜内文城参院議員(みんなの党)が翌30日朝更新したブログで報告したことだ。桜内氏は、野次発言者について「ある民主党ベテラン議員」とぼかしている。
発言があったとされるのは、「秋篠宮殿下御夫妻が議場に入られた後、天皇皇后両陛下の御入場をお待ちになる間、ずっと起立されていた(当初の式次第では着席されることとなっていた)」ときのことだ。
桜内氏は「報道されてはいませんが」とことわった上で、「ある民主党ベテラン議員」が「『早く座れよ。こっちも座れないじゃないか』と野次を飛ばす始末」と明かした。「同じ国会議員として、とても恥ずかしく思います」とも書いている。
また、ほどなく更新したブログで「議場に響き渡るような大きな声のヤジではありませんでしたが、(略)みんなの党の同僚議員も確かにそのヤジを耳にしていますし(略)」と追加報告した。
桜内氏のブログ報告などを受けたマスコミからの取材に対し、中井氏は「『早く座らないとだれも座れないよ』と言ったかもしれないが、秋篠宮さまに向けて言うはずがない」(12月1日付産経新聞朝刊、中井氏の名前を出して報道)、「隣の人に式次第を見せて『着席と書いてあるよな。お座りにならないのかな』と話した。ヤジではない」(1日付朝日新聞朝刊、中井氏の名前は出さず)などと回答している。
一方で、FNN(フジテレビ系)が11月30日夜に中井氏の名前を伏せて報じた際には「この民主党議員は、FNNに対し、『取材には答えない』と話している」と伝えていた。12月1日午前の衆院議運理事会では、民主党側は「立たせていてはご夫妻に失礼ではないか」という趣旨の発言だった、と「早く座れよ」発言を否定した。