横須賀、呉、佐世保などの旧海軍の基地があった都市が売り出している「海軍カレー」は、全国的に有名だ。これに対抗して、福岡県の航空自衛隊の基地で出されたカレーで町おこしをしようという試みが進んでいる。すでにレトルト食品の試食会も行われるなど、地元観光協会では「年度末にも製品化を目指したい」と意気込んでいる。
レトルト化の計画が進んでいるのは、航空自衛隊の築城基地(福岡県築上町)で隊員向けに出されているカレーだ。
このカレーは00年頃、海自の佐世保基地や横須賀基地で出されていたカレーに対抗する形で登場したと言われている。肉を赤ワインに1晩つけて柔らかくしたり、市販のルーにインスタントコーヒーを加えてコクを出したりしているのが特徴だ。海自と同じ金曜日のメニューとして登場し、同基地を訪れる全国の自衛隊関係者の間でも評判になったという。
地元紙・西日本新聞が10年9月20日、連載記事でこのカレーについて取り上げたところ、築上町観光協会職員の目にとまり、この職員がカレーの市販化を発案、話がトントン拍子に進んだという。
10月22日には、基地内で試食会が行われ、基地側が県内の食品メーカーに詳細なレシピを提供。食品メーカーは、これをレトルト食品として試作し、約1か月後の11月26日に行われた試食会では、
「おおむね、良く再現できている」
「若干甘いかも」
「後から、辛味がジワーっと効いてくる」
などといった声があり、好評だったという。
観光協会では10年度中の発売を目指しており、町内の物産館や基地内の売店、ネット経由での販売を予定している。気になる価格については、
「あまり高くてもいけませんが、赤字を出す訳にもいきませんし…」
と、詳細は固まっていない様子だ。12月1日には、観光協会の運営委員会でカレーのネーミングや販売方針が検討される。