中国の動画共有サイト「ビリビリ動画」がネットで話題だ。日本のニコニコ動画によく似ており、動画にコメント字幕を載せることができるほか、画質もかなりの高画質。ただ、日本からアクセスが殺到、「荒らし」行為も一部あったようで、管理者も困っている。
ビリビリ動画は中国で運営されている動画共有サイト。トップページ左上には「bilibili DOUGA 秋」と記載されている。「BILIBILIチーム」が趣味で作った個人サイトだという。
日本のコンテンツをそのまま掲載
ニコニコ動画では視聴者のコメントが画面の右から左へ字幕のように流れるが、ビリビリ動画でも同様。大量のコメントで画面が埋もれ、「弾幕」状態になることもあり、いわば中国版ニコニコ動画といった感じだ。動画ロード中にテレビのアイコンが出てくるところまで似ている。
アニメや音楽、ゲームなどの動画が掲載されており、日本のものがかなり多い。初音ミクのほか、日本のアニメを切り貼りして再編集したMADなど、ニコニコ動画に掲載されているものをそのまま転載したと見られるものもある。
また、日本で放送されてから1か月も経っていない人気アニメがそのまま掲載されているケースも多数あり、著作権については無法状態となっている。
このサイトは2010年11月26日ごろから2ちゃんねるで話題になった。「サイトは重いけどニコニコより高画質」「中国凄いな」といったものもあったが、「ニコニコ動画丸パクリ」「また著作権無視の違法サイトか」と批判的なものも多数寄せられた。
2ちゃんねるで紹介されたことで、日本からのアクセスもかなりあったようだ。「パクリ」といったもののほか、「尖閣」「天安門」など、中国人を刺激するコメントが日本から書き込まれた。そうしたことがあり、ビリビリ動画管理者が11月27日までに、日本からのアクセス向けにメッセージを掲載した。
「政治コメント多ければ日本からのアクセス禁止」
「日本からの皆様へ」という文章で、日本語と中国語両方で書かれている。「bilibiliで動画をご覧になっていただいて光栄でございます」とした上で、「ニコニコ動画のパクリ」と言われていることについては「ニコニコの形式の上で自分のイデアや概念をくわえたのです。我々のシステムはニコニコとかなり違っています」と主張する。
2ちゃんねるで話題になったことで、ビリビリ動画に日本から政治的なコメントが書き込まれた。日本人はそういうことはしないと思っていたため、残念だという。「萌え」文化に国境はないと思っており、よりよい交流の場を作りたいと思っている。もし政治に関するコメントや、侮辱的な言論が多すぎるなら、日本からのアクセスを禁止する予定だと警告し、「日本の友人との萌につく交流を楽しみにしております、お互いに尊重することも両方とも戒めよう以上のメッセジーをいたします(原文ママ)」と結んでいる。
これを受け、2ちゃんねるでは「向こうの運営も大変だな」といったものも少し出てきて若干沈静化。ビリビリ動画の方でも、管理者がコメントにNGワードを設定したのか、政治的な書き込みは余り見られなくなっている。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、
「中国の人も日本の『萌え』が大好きで、ニコニコ動画も結構見られています。荒らしたくなる気持ちも分からなくもないですが、パクられるというのはリスペクトされているということ。オリジナルはこっちなんだから、『この野郎!パクるな!』とけんか腰になるのは器が小さいですよ。著作権無視についても、『CDにコピーガードが付いたように結果としてユーザーが損をしますよ』と兄が弟を諭すように教えてあげればいいんです。そういう交流の仕方もあるのではないでしょうか」
と話している。