他の自動車大手にも影響を与えそう
九州工場には約3600人(今年4月末現在)の従業員がいるが、新会社に転籍となる見通しだ。
マーチのタイへの全面移管は、国内自動車メーカーとして初めて、主力車種の生産を海外に全面的に移すという大事件だった。「利幅が少ない大衆車を、円高の日本で作る時代ではなくなりつつある」とタイ日産自動車のトップは語っている。
このほか、タイへの移管前にマーチを生産していた追浜工場(神奈川県横須賀市)は電気自動車「リーフ」など付加価値の高い車種の生産拠点、栃木工場(栃木県上三川町)は高級車の生産拠点と、それぞれ集約する方針とされる。
主力車種の生産さえ海外に全面移管するという大胆な試みと、一定の国内生産体制は維持しようという「2正面」戦略。「世界市場が大きく変化している現状で、日本国内に(生産・研究開発拠点の)何を残すべきなのか、協議を進めている」と日産の志賀俊之最高執行責任者(COO)は年明けに語っていた。その「予言」の第1弾が九州工場分社化構想で、今後の一層の生産体制の見直しは不可避とみられ、他の自動車大手にも影響を与えそうだ。