日産九州工場分社化へ 賃金抑え国内生産存続

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   国内外の生産体制の見直しを強力に進めている日産自動車が、九州工場(福岡県苅田町)の分社化に動き始めた。分社化で賃金を抑制し、利幅の薄い小型車の生産拠点に位置づけようとの考えとみられる。

   日産は既に国内で販売する主力小型車マーチの生産をタイに全面移管し、2010年7月から逆輸入も始めており、円高など厳しい経営環境に直面する中、抜本的な生産体制の改革でコスト競争力を高め、生き残りを図る考えだ。

小型車も日本で生産し続けられる拠点

   日産は2010年10月5日、「九州工場を母体とした新会社設立の検討を開始する」と発表した。賃金水準が比較的低い九州で生産を拡大し、賃金体系を本社と切り離して人件費を抑えることで、生産コストを引き下げようとの狙いだ。

   厚生労働省によると、製造業男性の所定内給与(月額)は、神奈川県の34.5万円に対し、福岡県は28.9万円と、九州はかなり低い。しかも、九州工場の周辺には有力な部品メーカーが集積しているうえ、アジア諸国と地理的に近く、韓国や中国からも比較的安価な部品を調達できる環境にもある。

   九州工場は現在、関東地方から部品の3割を輸送しているが、分社化を機に地元調達率をほぼ100%に高め、部品コストを現在より2~3割引き下げたい考えで、「将来にわたり小型車も日本で生産し続けられるグローバル競争力を持った生産拠点をつくりあげていく必要がある」との決意も表明している。

   九州工場は1975年4月に操業を始め、現在は高級セダンのティアナ、スポーツ用多目的車(SUV)のエクストレイル、デュアリスなど7車種を生産。年間生産能力は約43万台(09年度の実績は約30万台)。分社化をにらんでか、2010年秋、全面改良した主力のミニバン・セレナの生産を日産車体の湘南工場(神奈川県平塚市)から九州工場に移し、11月に出荷を始めた。北米向けのSUVを中心に生産していた九州工場の位置づけは「輸出拠点」から大きく変わりつつある。

姉妹サイト