年収400万円が600万円にアップの例も
採用に際して、好待遇で臨む企業も現れた。最近では、年収400万円ほどだったエンジニアに対して、600万円を提示する事例があったとインテリジェン広報は話す。条件面も、「以前なら『ここまでできない人は採用しない』言われた要望事項が、最近は緩和されてきている」という。
欲しい人材にはカネを惜しまない、との姿勢は、絶好調のSNS企業に顕著だ。10年8月、DeNAとグリーは相次いでエンジニアの募集にあたって「準備金制度」を取り入れた。いずれも採用者に対して上限200万円を支給する「太っ腹」ぶりだが、裏返せば他社を出し抜いて何とか優れた人材を獲得したい思いが伝わってくる。DeNAは当初の予定を3か月延長して、11年1月31日まで制度の期間とした。同社広報によると「多くの方に応募していただいている」とのことで、目的の達成に手ごたえを感じていると話す。
最近では、IT関連の派遣社員も時給がアップしているという。だが、この流れが新卒採用にまで好影響をもたらしているかは微妙だ。急成長中のIT企業が求めているのは、あくまで即戦力のエンジニア。経験豊かな人材確保に注力する一方で、有望株をたくさん採用してじっくり育てる、というわけでは、今のところないらしい。