「いろんな動物が食べ、生態系に影響ない」
生態系破壊の可能性について、ドングリまきをした日本熊森協会では、森山まり子会長が次のように説明する。
「日本の多くの森林では、人の手が入っていないところはほとんどありません。私たちは、原生林ではなく、こうした遺伝子がかく乱されたところにドングリをまいています。また、都市部の公園などにあるドングリは、暖地性のもので、気温が低い山の中で発芽することはほとんどありません。落葉広葉樹のドングリとは、性格が違います。また、山によって遺伝子が違うブナやミズナラのドングリは運ばず、日本の里山に多く植え替えられたコナラやクヌギのを運んでおり、それに付いている虫も固有の遺伝子はないんですよ」
ネズミばかりがドングリを食べているかについては、こう反論した。
「それは全部ウソですよ。クマが食べた証拠写真など、うちはいっぱい撮ってあります。農作物を食い荒らすようなネズミは、山にいるネズミと種類が違います。山にいるのは、半径10メートル以内にあるドングリを食べるアカネズミです。まいたドングリは、タヌキやシカなどいろんな動物が食べており、バランスが取れているので、ネズミだけが増えるようなことはありません。批判している人たちは、奥山を歩いていないので、そんなことを全然知らないんですよ」
環境省の担当者は、ドングリまき以外にクマを守る方法として、次のように言う。
「ドングリなどがなる同じ植生の木を山に植栽したり、中山間地域の柿や栗を木から落として山から出てこないようにしたりすることが考えられます。人間の生活圏との境を明確にすることが大切でしょう」
これに対し、熊森協会の森山会長は、こう批判している。
「動いていないのは環境省であって、うちはどんどんドングリの木などを植えています。中山間地域で、柿や栗などの木を植えていたのは、凶作のときに街中に出てくるのでクマ止め林として必要だったからです。役人は現場を知らないので、柿を落とせなどと、してはならないことを指導しているんですよ」