鳩山前首相、「尖閣、違った道筋に」 東大でも振りかざした「友愛」原則

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   「政界引退撤回」が波紋を呼んでいる鳩山由紀夫前首相が2010年11月21日、母校でもある東京大学の学園祭「駒場祭」で、講演を行った。「菅内閣批判はいけない」と断りつつも、「今こそ、理念に基づいた政治をしてもらいたい」と、自らの政権時代に掲げた理念が事実上置き去りにされていることの歯がゆさをにじませた。

「菅内閣批判はいけませんね」

東京大学で講演する鳩山由紀夫前首相。自ら「新しい公共」「地域主権」「東アジア共同体」と板書した
東京大学で講演する鳩山由紀夫前首相。自ら「新しい公共」「地域主権」「東アジア共同体」と板書した

   この日のテーマは「友愛革命の灯は消さず」。冒頭、テーマについて「『ひ』と読むのか、『ともしび』となのかと言われ、もう『ともしび』なのかと思った」と自虐的な発言をしつつ、鳩山氏が政権時代に力を入れていた「新しい公共」「地域主権」「東アジア共同体」という3つの単語を板書。この3つを「友愛の3種の神器」と呼んだ上で、

「これがないと、どうなるか。…菅内閣批判はいけませんね…」

と述べ、会場の笑いをさそった。

   さらに、

「いまひとつ、菅内閣が何をしたいか(良く見えてこないので)、もっと鮮明に出したらいいのではないか」

と注文を付けた上で、菅首相が掲げた「最小不幸社会」については、「イメージが暗くなるんだよね」と一刀両断。

「『最小不幸』を目指すのが望ましいか、十分議論すべき。今こそ、理念に基づいた政治を行ってもらいたい」

と、前向きな理念を打ち出すように求めた。

「友愛」の発想で事件解決?

   鳩山前首相は、「東アジア共同体」に関連して、中国との関係にも言及した。尖閣諸島沖で起きた中国漁船との衝突事件で動画が流出したことについては「情報によるクーデター」と、改めて海上保安官の犯行を批判。その上で、政府の事件に対する対応に触れ、

「菅首相は『自信を持っている』と言っているが、果たしてそうか、議論していかなければならない。友愛という発想で、そういう事件の解決のあり方があったのかどうか。もっと違った道筋が考えられたのになぁと思う。残念な道筋になってしまった」

と語り、「友愛」の理念を菅政権が継承しなかったことが両国間の緊迫感を高めたとの見方すら示した。

   東シナ海での海底油田開発問題についても、

「胡錦濤主席や温家宝首相が来日するたびに、『友愛の海にしよう』と叫び続けている。東シナ海のガス田(の調査・開発)も、2年間止まっていた。(首相退任直前の)10年5月末に温家宝首相と会談した時は、先方から『お互いに協力していこう』と言われた」

と、同様の主張を展開。「『友愛』の旗を降ろしてはならない」とも述べた、

   講演会終了後、報道陣から

「菅首相へのアドバイスは?」

と聞かれると

「頑張れ」

と言い残し、報道陣などにもみくちゃにされつつ、沿道の人と握手しながらキャンパスを後にした。

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