子ども手当て支給に所得制限導入も検討
現行の基礎控除(5000万円プラス法定相続人1人につき1000万円)を3000万~4000万円に下げる案が浮上している。ただ、生前贈与は減税して現役世代への資産の移転を促し、個人消費を刺激することを検討する。
証券優遇税制延長の是非も議論。上場株式の配当と譲渡所得への税率を10%に軽減する措置は11年末が期限。金融庁は「証券市場を活性化させる」と延長を要望していたが、効果を疑問視する意見があり、本来の20%に戻すべきだとの声が強まっている。
税制論議の行方とも絡むが、子ども手当てを3歳未満に限り増額する財源として、手当て支給に所得制限を導入することも検討されている。
こうした一連の高所得層に狙いを定めた控除廃止など負担増は、自民党政権時代からの大きな路線転換になる。自民党時代は景気を良くするための個人消費拡大策として「購買意欲が強い高所得層を優遇した方が、効果があるとの考えが強かった」(エコノミスト)。
これに対して民主党政権は「高所得層の優遇が行き過ぎた」というのが基本認識。「経済論としても、生活に余裕のない低所得層ほど消費性向(可処分所得のうち消費に回る割合)が高いから、低所得層の家計を暖める意味があるとの考えは一理ある」(エコノミスト)。
いずれにせよ、個人への増税は可処分所得を減らすので、景気のマイナス要素であるのは間違いない。民主党内にも「この経済情勢で増税は極力回避すべきだ」(中堅議員)との慎重論も根強く、税制改正大綱決定まで、厳しい議論になりそうだ。