尖閣ビデオをユーチューブに投稿した「sengoku38」こと神戸海保の海上保安官(43)について、週刊誌の見方が割れている。ところが、不思議なことに、保安官の素顔については、どこも同じような説明なのだ。
世論の支持をくみ取ってか、週刊現代は、2010年11月15日発売号で、こんな大見出しを掲げた。
もの静かでまじめ、目立たない存在
「覚悟の告発 『正義はわれにあり』」
保安官の顔写真はないが、実名は大きく出ている。
これに対し、皮肉たっぷりなのが、週刊文春11月18日発売号だ。「『覚悟なき英雄』の正体 あえて言う!この男は『正義』なのか」。顔写真で目隠しされているが、こちらも実名入りだ。週刊新潮も、同日発売号で、「『英雄』か『英雄気取り』か『変わり者』」との見出しを掲げ、こちらは、実名ばかりでなく顔写真も出している。
読者がこれらの雑誌を手に取れば、頭が混乱してしまうかもしれない。なぜ実名や顔写真の扱いが分かれたのかについても同様だ。
しかし、いずれも読み通すと、海上保安官の素顔についての説明はほとんど変わらない。
民間商船の船員時代や海上保安学校の在籍時なども含めて、同僚や友人らの話から、もの静かでまじめ、目立たない存在であったことが伝わってくる。そして、時にはよく笑い、明るい性格でもあったという。そのどこからも、英雄らしかったり正義漢を気取ったりするようなところはないのだ。ビデオ投稿には、共犯の可能性が指摘されているが、それもクーデターと言えるようなレベルではない。
11月16日未明に、神戸海保の庁舎から姿を見せたときも、何かを叫んだり、パフォーマンスをしたりすることもなかった。むしろ無表情であり、報道陣の前では、何も言わずに一礼しただけだ。
それなのに、なぜ週刊誌でこうも見方が分かれるのか。