元ホステスの田中香織さん(当時30)に適切な救護措置をとらなかったとして、保護責任者遺棄などの罪で実刑判決を受けた押尾学被告(32)が、およそ1か月半ぶりにメディアの前に姿を現した。押尾被告は、従来どおり自らに刑事責任はないとの立場を貫き、「なんでみんなさぁ、俺のこと悪く言うの?」などとメディア批判を展開。「押尾節」は健在だった。また、芸能活動への復帰については「無理でしょ」と、やや弱気な一面を見せてもいた。
押尾被告は2010年10月4日に保釈されたが、その前の段階でファッション誌「エッジ・スタイル」(EDGE STYLE)が東京拘置所で接見、取材に応じていた。
刑事上の責任はないことをインタビューで強調
10月7日に発売された同誌11月号に掲載されたインタビューによると、
「正直、私の法廷での供述が全く信用されておらず、納得できません」
と、芸能人としては初めての裁判員裁判で下された懲役2年6月(求刑6年)の実刑判決に対する不満をあらわにし、
「正直、アゲハさん(編注: 田中さんの源氏名)の容態が急変したとき、私は全力を尽くして救命措置を施しています」
「申し訳ないことに、心臓マッサージ中にアゲハさんの肋骨が折れてしまったほどです」
と、刑事上の責任はないことを強調していた。
このインタビューから約1か月半、押尾被告はメディアの前に姿を見せていなかったが、写真週刊誌「フライデー」(講談社)の直撃取材に応じている。首都圏では11月19日に発売された12月3日号によると、同誌は11月15日、押尾被告を自宅近くのマンションでキャッチ。
掲載された写真では、白いジャージ姿でマスクをしており、ヘッドホンステレオで音楽を聴いている。紙媒体では白黒写真だが、電子雑誌配信サービス「ビューン」などでは、カラー写真で見ることができる。だが、黒い帽子をすっぽりかぶっているため、拘置所生活で増えたとも言われる白髪を確かめることはできない。
「マスコミはウソばっかり書くでしょ。アメリカ進出だとか」
押尾被告が同誌のカメラマンと記者の姿を見つけると、自分から手を挙げて近づいたといい、記者が声をかけると
「分かってるでしょ、僕がどういう状況か。イジめるようなことは、もうやめてくれませんか?」
「こうしてメディアに話すのは本当に1年ぶりだけど、マスコミはウソばっかり書くでしょ。アメリカ進出だとか、現地でデビューの話とか」
と、マスコミに対する警戒感を隠さなかった。
さらに、
「全部ウソだからね。見殺しにしたとか。見殺しになんかしてないから」
と、改めて自らの無実を主張した。ただし、誌面で確認できる限りでは、事件直後、押尾被告の知人が繰り返し110番通報するように求めたが、これを事実上無視したことについては、特に具体的な反論はしていないようだ。
批判の矛先は、マスコミだけではなく、判決内容にも向けられた。
「裁判で僕が話した事実が伝わってないから。マスコミがウソばっかり書くから」
と、控訴理由について従来の主張を繰り返し、裁判員制度の影響について聞かれると、
「うーん、それもあるだろうけど…」
と、裁判員がマスコミ報道の影響を受けたとの見方すら示唆した。
なお、控訴審は職業裁判官のみが判断することになっており、11年1月にも開かれる見通し。押尾被告は定期的に弁護団とミーティングを行っているといい、1審同様に無罪を主張するものとみられる。