中国で行われているアジア大会で、その審判ぶりや罵声の飛び交う応援などが話題になっている。とはいえ、卓球の福原愛選手ら人気者への対応はまったく違うというのだ。
「終始、積極的に投げていました。延長戦でも、技に近いものを2回繰り出していたんですが…」
「明らかに勝っていた」と不満
柔道女子48キロ級決勝で福見友子選手が判定負けをしたことついて、現地入りしていた全日本柔道連盟の事務局長は、こう首をひねる。
中国・広州で2010年11月12日から16日間の日程で始まったアジア大会。中国勢は異例のスピードで金メダルを稼いでいるが、審判の判定や応援マナーなどでネガティブな報道が相次いでいる。
福見選手のケースは、一方的に攻めて、中国の呉樹根選手が逃げ回る姿がテレビにも映っていた。逆に指導を取られてもおかしくないが、判定は1-2で福見選手の負け。これに対し、事務局長は、「福見は、明らかにゴールデンスコアで勝っていました。審判の見る目はどうなのかと、不審に思いましたね」と不満を露わにした。
女子63キロ級では、上野順恵選手が北朝鮮選手に何度も殴られたとされ、顔が膨れるほどの様子が痛々しかった。しかし、この試合でも、審判は、反則などを取らなかったのだ。「わざとやったのかは定かではありませんが、上野がかわいそうでした。この大会は、審判のレベルが本当に低かったですね」(事務局長)。
中国の試合運営についても、不満の声が報じられている。
11月8日にあったサッカー日中戦では、前日の公式練習で、なんとボールやスパイクの使用禁止という「嫌がらせ」を受けたというのだ。スポニチによると、大会組織委は「芝の状態をキープしたい」ことを理由にした。このため、芝の深さやボールの転がり方が分からず、リーグ戦で経験済みの中国に比べ、ハンデを負わされた。
福原愛選手には「頑張れ!」の大合唱
中日スポーツによると、試合で使われたサッカーボールは、地元の五輪委が準備したとみられる日本で入手困難なメーカーのものだった。日本は、準備できずに、セットプレーに影響が出る可能性があったという。
当日のサッカー日中戦も、観客の応援ぶりがひどかったと伝えられている。朝日新聞によると、試合開始前に君が代が流れると、中国人席から一斉にブーイングが上がったというのだ。試合中も、日本が得点すると、「小日本」などと罵声を浴びせたとしている。
不満を持っているのは、ほかの参加国も同じらしい。
女子テコンドー49キロ級では、優勝候補だった台湾の「美人選手」が予選の試合中に、足の防具が規定違反とされて反則負けに。この選手は、事前チェックを通ったのにと涙ながらに訴えたが、受け入れられなかった。また、東京新聞によると、セパタクロー男子団体予選で、マレーシアと対戦した中国が主審を中国人に代えろと言い出し、中国人の線審2人もライン際のボールをことごとく中国の有利に判定したという。
中国人の応援も、使用禁止の太鼓がお咎めなしだったり、大会運営スタッフが最前列で応援を統率して公私混同したりしていたとも報じられている。
ただ、いつも罵声を浴びせていたのではなかったようだ。
東スポによると、サッカーの山村和也選手は、ある華流スターにそっくりのイケメンで、インド戦では、ブーイングから打って変わって中国ギャルから黄色い歓声が飛んでいた。また、卓球の福原愛選手は、陶器のお人形みたいだと人気を集め、現地メディアで「涙美女」と紹介されたこともあって、試合中は「頑張れ! 福原」の大合唱だったという。
中国人も、人気者には目がなかったわけだ。