権利者の許可「流れ」できつつある
テレビ番組のネット放送となると、出演者や番組の脚本家、音楽など関係者から許諾を得る必要がある。「ピラメキーノ」の場合、制作自体はテレビ東京だが、出演者らの許可はとらなければならなかった。前出のテレビ東京メディア戦略部によると、他局でも、「同時放送」ではないが番組終了後のコンテンツをネット配信するケースが出てきており、配信に関するさまざまな権利処理に際しては、権利者が許可を出す「流れ」になりつつあると感じたという。
今回の試験放送では、番組の知名度アップにつなげるのはもちろんだが、番組に関連する商品の販売促進もねらっている。ただし配信期間は限定的で、同時放送は10年12月27日放送分までで終了し、「延長する予定はありません」(メディア戦略部)。今後本格的に乗り出すかどうかは、実験で視聴者数増加やグッズの売り上げアップといった成果が出るかにかかっているようだ。
テレビとネットの同時放送は、今後広がりをみせるだろうか。NHKの福地茂雄会長は10年11月4日の記者会見でネットの番組配信について触れ、「お客様に合わせていくことは我々の義務」と語り、ネットによる同時放送ができるよう放送法の改正を総務省に求めていくと意欲を見せた。民放でも、今回のテレビ東京の試みが視聴者からの支持を得られれば、「放送解禁」の流れが加速するかもしれない。