2つの言葉だけで法相は務まる――そんな「国会軽視」発言をした柳田稔法相が袋だたき状態だ。「失言」は以前から続いているが、今回は特に大きな反発を受けている。法務行政には「門外漢」だそうだが、押し寄せる罷免などを求める声を前に「2つの言葉」で乗り切ることができるのだろうか。
柳田法相への「問責決議案包囲網」が自民党など野党に広がっている。2010年11月18日、社民党も同決議案が提出されれば賛成する方針を党常任幹事会で決めた。尖閣ビデオ流出を受けた、仙谷由人・官房長官と馬淵澄夫・国土交通相への不信任決議案へは反対していたが、柳田法相の件は別、弁護の余地なしというわけだ。
「個別事案は差し控え」と「法に基づき適切に」
柳田発言は11月14日、地元の広島県内で開かれた法相就任祝いの会合の席上であった。発言場面は、NHKが映像・音声つきで報じるなどした。
「法務大臣とはいいですね。2つ覚えておけばいいんですから。『個別の事案についてはお答えを差し控えます』と。これがいいんです。あとは『法と証拠に基づいて適切にやっております』。この2つなんですよ。まあ、何回使ったことか」
柳田法相は、手の指を2本立て、「2」を何度か強調しながら話を続けた。
この発言は11月16日、衆院法務委員会で指摘された。法相は当初、「仲間内の話」としていたが、結局「誤解を与える発言をおわびする」と陳謝した。しかし事態はおさまらず、18日には自民党が参院予算委で罷免を要求し、菅直人首相が拒否すると問責決議案を出す構えをみせている。
柳田法相は自身も言うように「20年近い(議員生活の)間、法務関係は1回も触れたことはない」議員だ。1990年の衆院選で旧民社党から初当選し、98年に参院へ転じ現在参院3期目だ。民主党参院幹事長も務めた。この間、厚生労働や財政金融、外交防衛などの委員会にかかわっているが、法務行政は「門外漢」のようだ。
ちなみに、柳田法相のサイトによると、東大を自主退学し「寿司屋で人生修行」した後、東大工学部船舶工学科に再入学、卒業している。ブログ名は、名字をもじったとみられる「ヤルキダくん日記」だ。