小泉内閣から10年近くにわたって行われていたメールマガジンの発行が途絶えるなど、情報発信力の低さが指摘されている菅内閣が、ようやく発信力の強化に乗り出した。ブログなどを通じて総理の動画メッセージを配信するという取り組みだが、公開された動画は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の成果をまとめたに過ぎず、菅首相が視聴者に向けて直接、語りかける内容は含まれていない。ブログも、18時半まで準備中でアクセスできない状態が続いた。ツイッター上では、早くも失望感が広がっている。
鳩山政権ではツイッターも活用
鳩山由紀夫前首相は、自民党政権時代から発行されていた内閣メールマガジンの発行を引き継いだほか、ツイッターを活用するなど、比較的情報発信には前向きな姿勢を見せてきた。フリーランスの記者も首相会見に参加できる「オープン化」を進めたのも鳩山氏だ。
ところが、菅直人首相は2010年6月8日の就任会見で
「オープンというのが具体的にどういう形が望ましいのかについては、しっかり関係者の意見を聞いて検討したい」
と、オープン化に対して消極的ともとれる説明をしており、メルマガの配信も途絶えていた。ツイッターも活用しておらず、前政権に比べて情報発信力の低下が目立っていた。
その菅政権が情報公開の一環として打ち出したのが、「政府インターネットテレビ」内に設けたメッセージ動画コーナー「KAN-FULL(カンフル) TV」と、ブログ「KAN-FULL BLOG」の開設だ。いずれも、支持率低下に悩む政権への「カンフル剤」としての効果を期待したものとみられるが、ネット上の評判は芳しくない。
「テレビ」は、11月17日に開設。17時の段階で掲載されている動画では、APEC首脳会議で各国首脳との会談の様子をまとめた7分15秒の動画が掲載されている。政策の内容が字幕や図で分かりやすく説明されているものの、菅首相が視聴者に語りかけるような場面はない。また、ブログは11月18日に開設予定で、動画コーナー以外に政策を紹介する「一歩一歩」、官邸の身近な話題を取り上げる「官邸雑記帳」といったコーナーが設けられるという。だが、ブログにアクセスしようとすると、18時時点でもユーザー名とパスワードの入力を求められ、
「このページを閲覧するには認証が必要です。パスワード等に間違いがないかご確認下さい」
との表示が出る。つまり「まだ、工事中」だということだ。