IT企業「会って話をしないと分からない」
日本の企業には、実際に就職希望者のブログなどをチェックしていることを明かすケースもある。
IT企業「はてな」がそうだ。同社の近藤淳也社長は、2005年12月15日のブログで、就職希望者のブログを何か月分も読むことがあるとして、「『興味深いブログを書いている人』の採用率がとても高い」と明かしている。ネットサービスのスキルが分かるばかりでなく、1年かけたブログなら、希望者の本当の姿、興味、性格などが分かるというのだ。
一方、採用活動でのネットの重要性を認めながら、ブログなどは参考にしないという企業もある。
同じIT企業の「ECナビ」は、宇佐美進典社長が11年度採用に際してツイッターで希望者を募り、話題を集めた。しかし、広報担当者は、こう言う。
「ツイッターは、あくまで入り口です。手書きの書類を書いてもらい、本人に会って話をしないと分からないと考えており、ツイッターの内容などは採用の基準にしていません」
ツイッターで呼びかけて就活生向け座談会を開いたところ、採用したい学生が多く見つかったことがきっかけだったという。今回は、100人を受け付け、そのうち1人が入社予定になっている。
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表の城繁幸さんは、ブログなどのチェックが広まることには懐疑的だ。
「日本のネットは匿名文化であり、実名を公開していないことが多いからです。大手企業は、希望者の数が多く、そんな中でチェックに時間をかけるほどヒマではありません。数人を採用するような一部のITベンチャーなどに限られるでしょう。最終面接ですることも考えられますが、人事の組織ではなく個人レベルだと思いますよ。人事部長や役員クラスなら、細かいことを調べずに、面接で評価するのでは。就活生には、ネット上で実名を書くなら変なことはするな、とだけアドバイスしたいと思います」