SNS(会員制交流サイト)のフェースブックが、いよいよ日本で人気爆発する――。一部メディアから、こんな声が出始めた。世界最大の会員数を誇りながら、日本では今ひとつ支持を得られていない。
だがここにきて、そのよさが浸透しつつあるという。日本の著名人や企業が徐々に使い始めており、機能の充実ぶりや外部コンテンツとの連動しやすさに満足している様子だ。登録の際の「実名制」にアレルギーを持つ日本のユーザーが多い中、どこまで広がるだろうか。
国内の認知度はわずか14.8%
「Facebookはビジネスにどう使える?」(現代ビジネス)
「登録159万人 Facebook、日本で流行の兆し」(ITメディア)
「日本でようやく?Facebook爆発流行の兆し」(web R25)
2010年10月、フェースブックの「特集記事」が次々にネット媒体をにぎわした。雑誌も「週刊東洋経済」が10月9日号で、5ページに渡って取り上げている。いずれも、SNSの「巨人」フェースブックが、今後日本で本格的に成長していく可能性に触れたものだ。
世界中で5億人の会員を抱えるフェースブックも、日本では決して「勝ち組」とは言えない。SNSの国内最大手「mixi」の利用者が約2000万人なのに対して、フェースブックは非公式な数字ながらも100万人程度とされている。
そもそも、国内での知名度は高くない。ソフトバンク・ヒューマンキャピタルが10年10月28日、20~49歳の400人に実施したSNSの認知度調査の結果を発表したが、GREEが93%、mixiも88.8%だったのに対して、フェースブックは14.8%にとどまった。同じ米国から来たツイッターの78.8%にも大きく水をあけられた。
日本での利用者獲得が思うように進まないためか、フェースブックは10年2月に東京に拠点を設置、9月からは国内で本格的な広報活動を開始している。メディアを通じて積極的にアピールして知名度アップを図り、何とか日本のユーザーに使ってもらおうとの戦略かもしれない。
「ツイッターとはまた違った楽しさ」
とは言え、世界レベルでは抜群の人気を誇るフェースブック。その理由は、他のSNSに先駆けて提供してきた各種機能にあるようだ。例えば、友人の投稿コメントや写真を評価する「いいね」ボタン。気に入ればボタンを押し、その数だけ賛同する人が多いことを表すという一見単純な機能だが、友人との気軽なコミュニケーションを促しやすい。さらにこのボタンを、ニュースサイトやブログといった外部コンテンツにも付けられるようにした。「いいね」が多いサイトには、フェースブック利用者からのトラフィックが増えたという報告もある。
外部コンテンツをフェースブックで紹介するためには、そのサイトに付ける「シェア」ボタンを用意した。例えばニュース記事なら、ボタンを押すだけで見出しや写真、記事の一部とリンク先が自分のフェースブックのページに表示され、友人と共有できる。
いずれも、驚くほど斬新な仕組みではないかもしれないが、多くのサイトで利用されている。フェースブックと外部サイトとの連携が増え、ネット上での広がりも増していく。自分のフェースブックのページに誘導する点でも有効だ。10年9月からmixiも類似の機能をスタートしたのは、その成功ぶりを見てのことだろう。
国内では著名人の支持者も出てきた。経済評論家の勝間和代氏は10年10月、ツイッターで自身のフェースブックページを立ち上げたことを発表。ブログやツイッターと連動させながら、「ツイッターとはまた違った楽しさがあります」とブログに感想を綴っている。企業でも、ローソンが10月27日にページを開設、サイバーエージェントは、フェースブックを採用活動に利用する。影響力の高い個人、法人の参加が増えれば、「使ってみようか」と考える人も出てきて、裾野は広がっていく可能性はある。