海上保安官投稿動画残る謎 協力者の可能性指摘する声も

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   尖閣諸島沖で起こった中国漁船との衝突事故の様子を収めた動画を流出させたと告白した海上保安官に対する取り調べが、3日目に突入した。だが、まだ明らかにならないのが、この海上保安官が動画をどのようにして流出させたかだ。

   告白する前の段階で、海上保安官はテレビ局の取材に対して「海上保安官なら、誰もが見ることができる状態だった」と話しているもの、庁内ネットワークで動画を見るためにはパスワードが必要だとされることから、協力者の存在を指摘する声もある。

アクセスには専用のパスワードが必要?

   この海上保安官は、上司に流出を告白する前の段階で、読売テレビ(大阪市)の取材に対して、

「さして国家機密的な扱いをされていなかった」
「海上保安官なら、誰もが見ることができる状態だった」

といい、庁内のネットワークで動画が共有されていた可能性を示唆している。各紙が報じるところによると、警視庁の事情聴取に対しても、

「船内の共有PCから動画をUSBメモリー経由で持ち出し、神戸市内の漫画喫茶で流出させた。投稿した後は、USBメモリーは壊して捨てた」

などと同趣旨の内容を話している模様だ。だが、海上保安庁はこれまで、動画は石垣海上保安部のみで保管されていたと説明しており、海上保安官の説明とは矛盾する形だ。

   馬淵澄夫国交相が動画の徹底管理を求めたのは、衝突事故から1か月以上もたった10月18日だ。つまり、海上保安庁の中で、少なくとも1か月間は「機密」ではなかった可能性もある。海上保安官は読売テレビの取材に対して「ひとりでやった」などと説明しており、ある程度はこの説明に信憑性があるとみることができる。

   だが、別の見方もある。毎日新聞によると、仮に庁内のネットワークで動画が共有されていたとしても、共有フォルダーに入った動画ファイルにアクセスするためには、専用のパスワードが必要だというのだ。つまり、この海上保安官が庁内ネットワークで動画を入手するためには、(1)誰かがフォルダーを作成して動画ファイルを入れる(2)フォルダーにアクセスするためのパスワードを海上保安官に教える(3)海上保安官がフォルダーにアクセスする、という手順を踏む必要があり、海上保安官の単独「犯行」は困難な可能性もある。

石垣海保の職員が流出に関わった可能性を指摘

   さらに、首都圏では11月11日に発売された「週刊文春」「週刊新潮」の両誌は、石垣海保の職員が流出に関わった可能性を指摘している。文春では、中国漁船に衝突された巡視船「よなくに」の乗務員や、石垣海保の海難救護課職員による犯行の可能性を唱えている。「よなくに」乗務員は「カメラオタク」で、海難救護課職員は、那覇地検が中国人船長を処分保留で釈放したことに強く憤っていたという。新潮では、この海難救護課職員以外に、石垣海保の51歳の海上保安官による犯行の可能性を指摘。同誌によると、この海上保安官が流出させたということが「暗黙の了解になっている」という。

   両誌とも、神戸の43歳海上保安官が「告白」する前の段階で校了したとみられるものの、映像流出に他の人物が関与していた可能性はいまだに否定しきれない。

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