トヨタとパナソニック  EV開発でスクラム組む

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   パナソニックが米国シリコンバレーの電気自動車(EV)ベンチャー、テスラ・モーターズに3000万ドル(約24億円)出資し、EV用電池を共同開発することになった。パナソニックはテスラの発行済み株式の約2%を取得する。

   テスラにはトヨタ自動車が既に約3%出資し、EVを共同開発することになっている。テスラを介して、トヨタとパナソニックがEV開発でスクラムを組むことになり、トヨタ・パナソニックという日本を代表する企業連合が世界のEV市場で主導権を握る可能性が出てきた。

パソコン向け安価なリチウム電池6800個

   今回の出資について、パナソニックは「本社が持つリチウムイオン電池の先進技術とテスラが持つ業界をリードするEV用パワートレイン(動力伝達装置)技術を組み合わすことで、サスティナブルモビリティを促進する」などと、狙いを語っている。

   テスラのイーロン・マスク会長兼CEO(最高経営責任者)は「グローバルで業界をリードする電池メーカーであるパナソニックに出資していただき、我々の技術力に対する力強い後押しになる」と歓迎。具体的には「パナソニックには独自の高エネルギー密度のリチウムイオン電池と業界をリードする優れた技術があり、我々の電池パックのコストが下がり、さらに性能を高めることができる」などと期待を表明している。

   パナソニックが評価するテスラのEV用パワートレインとは、電池パック、充電器、インバーター、モーターなどの駆動システムを指す。テスラはEVの高級スポーツカー「テスラロードスター」を発売しているが、心臓部の電池は、なんとパソコン向けに規格化された汎用の円筒形リチウムイオン電池だ。

   ロードスターはこの汎用リチウムイオン電池を6800個余りも積んでいる。このため、1回の充電で走行できる航続距離は378キロと長いが、電池重量は約450キロと重いのがネックだ。本来なら、車両重量1238キロの軽量なロードスターにこれだけの重さの電池を積むことなど常識的には考えられないが、パソコン向けの汎用リチウムイオン電池のため、自動車専用のリチウムイオン電池に比べれば価格が安いのがメリットという。

   一方、日産自動車が年内に発売する「リーフ」や三菱自動車が発売済みの「アイ・ミーブ」など、大手自動車メーカーが手掛けるEVは、NECやGSユアサなどと開発した高価な車載専用のリチウムイオン電池を搭載する。ベンチャーのテスラはパソコン向けの安価な汎用リチウムイオン電池を電池パックとしてうまく制御する技術があるという。

車載用リチウムイオン電池の世界標準を狙う

   パナソニックがテスラに目を付けたのは、このあたりにポイントがありそうだ。次世代EVの電池が、リチウムイオン電池になるのは間違いないが、車載専用の大型電池が主流になるのか、汎用電池を組み合わせた電池パックになるのか、将来は見通せない。いずれにせよリチウムイオン電池はコストと重量など克服すべき課題は多い。

   言うまでもなく、パソコンや携帯電話などは既にリチウムイオン電池が主力で、世界シェアトップは三洋電機。パナソニックと合わせ世界シェアは約3割を占めるが、韓国サムスンSDIやLG化学などが猛追する。パナソニックは2015年度にリチウムイオン電池事業の世界シェア40%以上を目指しており、車載電池を商機ととらえている。

   その点、トヨタ自動車がテスラに出資し、スポーツタイプ多目的車(SUV)「RAV4」をベースにしたEVを開発することで合意していることは、パナソニックにとっても心強い。テスラには独ダイムラーベンツも出資しているが、パナソニックはトヨタと電池事業で既に合弁会社を設立しており、車載用リチウムイオン電池の世界標準を狙う環境は整ったといえる。

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