沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船との衝突事故に絡み、「海上保安庁職員が海に投げ出され、モリで突かれるなどして死亡した」とのうわさがインターネット上で何度となく浮上する。国会答弁で明確に否定された内容だが、現政権への不信感の高さからか「うわさ」は、なかなか消えないようだ。
「尖閣諸島沖の中国漁船衝突事故で、海上保安庁の職員に二名の殉職者が出ていると…」「真実なんでしょうか?」――2010年11月8日、人気ネットサイト、ヤフーの「知恵袋」欄にこんな質問が投稿された。
「モリに突かれて…」
質問への回答は、「もし事実なら隠し通せると思いますか?」と、デマであるとの指摘もある一方、「海外メディアが(死亡を)報じた」「死亡者の名前も報じられている」などとして「死亡は真実でしょう」との声も寄せられている。大手メディアなどが報じないことについては、情報規制が行われていると心配する向きもある。もっとも、質問者は「真実だとしたら大変な事」としつつ、「デマだとしたら、どの様な目的を(略)」とも尋ねている。
「死亡説」に関する質問は、11月6日や10月末などこれまでに何度も寄せられている。同欄以外にも、尖閣関連の各種ネットニュースのコメント欄へ「死亡説」に関する話題が相当数、書き込まれている。「2人死亡」「海に投げ出されスクリューに巻き込まれ1人即死、さらに銛(モリ)に突かれた職員が11月上旬に死亡」――などの内容だ。一方、「デマだ」「海外ニュースを自動翻訳した際の誤訳がもとになった誤解」などの指摘もある。
「モリに突かれて…」の話題の発端は、テレビ番組での石原慎太郎・東京都知事発言だ。「新報道2001」(フジテレビ系、10月24日放送)の尖閣問題に関する討論の中で、石原知事はこう述べた。
「政府の関係者だったけどね、『側聞ですが』って聞きましたが、日本の巡視艇(船)の乗員が落ちたのを、何かのはずみに、中国の漁船(の船員が)、モリで突いてるんだってね。『側聞ですが』って言ったけど、数人の人から聞いた」「魚じゃないんだから、マグロじゃないんだから、ウソか本当か分かりませんが」