「中国に痛烈なパンチを浴びせることには成功した」
出席者によると、中国交渉団は初日の会議で米韓の提案が出た後、ほとんど発言しなかったという。会議後の会見も開かずに会場を立ち去り、提案への反発をにじませた。結局、翌日の会議では中国だけでなく、日独も数値目標設定に慎重姿勢を示し、共同声明には「参考となるガイドラインの策定」とだけ盛り込まれた。米国の提案は空振りに終わった格好が、それでも「中国に痛烈なパンチを浴びせることには成功した」(交渉筋)といえる。
ブレイナード米財務次官は11月1日、G20サミットの主要テーマについて会見し、強制力のある数値目標の設定は断念したことを明らかにしたが、「過小評価されている新興国通貨は、市場実勢に見合った水準になるべきだ」と中国にクギを刺すことを忘れなかった。一方、ドル安・新興国通貨高を招く米国の金融緩和に対する新興国の不満も頂点に達しており、サミットでは激しい駆け引きが展開されそうだ。