尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件やロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問など、「外交」をめぐる菅内閣の対応に国民の不満が噴き出している。読売新聞の世論調査によると菅内閣の支持率は35%、共同通信社でも32.2%となり、いずれも内閣発足後「最低」を記録。不支持率は50%前後で、支持率と逆転した。
菅内閣の支持率は軒並み下がっている。2010年11月8日付の読売新聞の世論調査(11月5~7日に実施)で、「支持する」が前回調査(10月1~3日)の53%から18ポイント下落して35%になった。「支持しない」は同37%から55%に上昇した。
74.0%が菅外交を「評価しない」と回答
支持しない理由で最も多かった答えは「首相に指導力がない」の43%。なかでも、外交問題では「尖閣問題」をめぐる菅内閣の一連の対応に82%が「評価しない」と回答。83%の人が政府は「尖閣ビデオ」を国民に公表すべきと考えていることがわかった。
ロシアとの「北方領土問題」でも68%が「問題視」している。政府は駐ロシア大使を一時帰国させる措置をとったが、調査では48%の人が「さらに対抗措置をとるべき」と考えている。民主党政権の外交や安全保障の政策に、54%が「不安を多いに感じる」、37%が「多少は感じる」と回答した。
また、共同通信社(11月6、7日に実施)の調査では、「支持する」が前回調査から14.9ポイント下落して32.7%、「支持しない」は36.6%から48.6%に上昇した。74.0%が菅外交を「評価しない」と答えた。
フジテレビの政治討論番組「新報道2001」が11月4日に行った調査では、「支持する」が35.4%。NHKが11月5~7日に行った世論調査で菅内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より17ポイント下がって31%となり、またTBS系列のJNNの調査でも前回調査から20ポイント余り下落して30.3%と、30%割れが目前に迫った。
民主党政権 「終わりの予感」
2010年11月8日発売の週刊現代が特集する「民主党政権 『終わりの予感』」で、政治評論家の三宅久之氏は「領土が獲られるというのに この内閣のぼんやりさ加減ときたら」と、菅政権の「事なかれ主義」の姿勢を批判。新党大地の鈴木宗男代表も、「外交に興味がない、苦手なのも分かるけれど、それではすまんでしょう」と憂いている。
経済対策である、貿易自由化を促進する環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐっても、共同通信社の世論調査では46.6%が「参加したほうがよい」と答え、「不参加」の38.6%を上回っている。ところが、「農家」への配慮から菅政権の態度は煮え切らない。
一方、小沢一郎元幹事長の「政治とカネ」問題でも、読売新聞の調査では84%が「小沢氏は国会で説明すべき」と答えており、多くの人が「民主党は適切に対応していない」としている。
そんな菅内閣を、週刊現代は「何もできない 何も決められない人たち」と評している。
ちなみに、菅内閣の支持率とともに民主党の支持率も低下。読売新聞では、民主党は前回調査から8ポイント下落して28%。自民党は7ポイント上昇し23%となり、その差を5ポイントに縮めている。