海保への電話8割近くが「応援」
こうした意見の背景には、ビデオを見れば中国船側の問題行為は「一目瞭然」(前原誠司・国土交通相=当時)とされながら、一般公開されてこなかったために中国側からの反論を許した、との不満がある。中国漁船の船長が釈放され「裁判の証拠」となる可能性は事実上なくなった段階で、機密扱いする必要性は低くなっていたではないか、というわけだ。
全国紙の社説(11月6日付)は、「流出犯の弁護」をかってでるところはなく、力点の置き方に違いはあるが、流出自体は問題視している。今後の一般公開について、日経と産経は「踏み切るべきだ」と主張し、朝日は「短絡的な判断は慎まなければならない」と慎重な姿勢を示している。
尖閣諸島をかかえる沖縄・石垣現地の声はどうなっているのだろうか。石垣市議会の伊良皆高信議長にきいてみた。
伊良皆議長は、「映像流出犯の問題ばかりが騒がれ、尖閣諸島問題の本質が置き去りにされるのが心配だ」と話す。今回の事件を受け、尖閣周辺を警備・警戒する海保や水産庁の船を増強するのかどうかなどについて一向に議論が進んでいる気配がない、と懸念を示している。「本質から目をそらすのは困ります」。
海上保安庁の政策評価広報室によると、「流出」が大きく報じられた11月5日以降8日正午現在で、電話が177件、メールが770件寄せられた。電話では8割近くの138件が、海保を「応援する」内容だという。流出そのものに対する意見というよりも、「(海保が)頑張っているのが分かった」「ありがとう」といった反応が多いそうだ。一方で「情報管理をきちんとすべきだ」との批判の声もある。メールの内容については「まだ分析できていない」。