登山やハイキングを楽しむ若い女性、「山ガール」が急増している。アウトドア・ファッションや登山グッズの新商品が続々登場、インターネットでは情報サイトがオープンするなど本格的なブームを迎えつつある。
サイトは2010年10月にオープンしたばかりで、「山ガールネット」という。ファッションを中心に、登山やトレッキング、キャンプなどの情報が満載だ。なかでも高尾山や筑波山など、実際に山で出会った「山ガール」を撮ったスナップ写真が公開されていて、さまざまな「着こなし」で個性を楽しんでいる。
今年から始めたという人が9割
アウトドア派の女性向けWEBサイトの「山ガールネット」には、1日約1000人が訪れる。スタッフによるブログや登山日記、お気に入りの写真がストックできるコミュニティーに、ツイッターも開設されている。
人気のスナップ写真はスタッフが実際に山へ出かけて撮影し、インタビューしている。運営会社のコーヨーによると、「(登山を)今年から始めたという人が9割です」と話す。山の魅力を満喫してリフレッシュしたり、食事や会話を楽しんだりする「山ガール」のようすがうかがえる。
「本格的な登山サイト」を目指すため、今後は登山の心得やマナー、リスクの啓蒙や、イベントや登山ツアーの企画にも力を入れていく。
とはいえ、「山ガール」ブームのけん引役は「ファッション」。東京・神保町や原宿などにショップを構える登山・スキー用品の老舗、ICI石井スポーツによると、「山ガール」の登場でレギンスやスカート、カラフルなスパッツなどが売れ、「若い人向けの商品が豊富に出てきています」という。
防寒性や伸縮性の高い素材を使った「山スカート」は、カラフルでスポーティーで機能的。街で着てもおかしくないようなデザインで、登山に「おしゃれ感覚」を持ち込んだ。
レインウエアやトレッキングシューズ、アンダーウエア、帽子やポーチなどの小物類もファッション性、機能性に富んだものが売れ筋という。
「登山学校」参加者の6割が女性
前出のICI石井スポーツは、2010年夏から「登山学校」を開校。「昔のような、山岳部の出身者が減っているなかで、より安全に、より快適に登山を楽しんでもらうための講習会です」と話す。参加者の6割が女性で、1回の講習会に平均30人弱が集まる。
富士登山を目標に置いている「山ガール」は少なくないが、まずは無理しないで、日帰りで気軽に楽しめる山々を登るところから始めている女性は少なくない。
富士山のお膝元、山梨県富士吉田市は「若い女性はファッショナブルで目立ちますし、増えているという印象はあります。登山には万全の態勢でやって来るので(事故など)あまり心配していません」(富士山課)と話している。
ちなみに、今シーズン(2010年7月1日~8月31日)に富士山に登った人は25万9658人で、1981年に吉田口登山道の6合目安全指導センターが統計を取り始めてから、過去最高を記録した。