地銀はいま生き残りに必死 地域密着型から「県境」越えて侵攻

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   仙台銀行(仙台市)と、きらやか銀行(山形市)が2011年10月の経営統合に向け協議に入ることで合意した。きらやか銀の粟野学頭取は「山形と仙台は一つの経済圏になっている」とし、県境を越えた統合のメリットを強調した。

   このほかにも、山口県下関市を本拠地とする山口フィナンシャルグループ(FG)が2011年10月に関門海峡を挟んで向かいの北九州市に新銀行「北九州銀行(仮称)」の開業を計画するなど、地銀の再編や事業展開は県境を越えて進もうとしている。

山口FGが「北九州銀」を新たに設立

   仙台銀ときらやか銀は仙台市に持ち株会社を設立し、両行が傘下に入る方針。両行はいずれも東北の第二地銀で、従来から業務上さまざまな交流があったという。だが、県境を越えた統合へ動き出した最大の背景は、「中小企業を取り巻く経済環境は厳しくなり、少子高齢化の進展や製造業の海外移転の問題もある」(三井精一・仙台銀頭取)という強い危機感だ。

   地銀同士のパイの奪い合いは激化しており、生き残りのためには、既存の枠を越えなければならない、という判断が働いたとみられる。

   山口銀行(下関市)と、もみじ銀行(広島市)を傘下に収める山口FGが、新たに設立する北九州銀は、九州にある山口銀の23支店を承継したうえで3年以内に北九州を中心に約10店舗を新設する方針だ。広島県内にある山口銀の店舗については、2011年度から統廃合を進め、もみじ銀とのすみわけを明確にする考えで、山口FGは経営資源を北九州銀に集中投下する戦略だ。

   山口FGが狙いを定める北九州は、新日鉄八幡製鉄所などの大手やTOTO、安川電機など地場メーカーが集積する「製造業の街」で、豊富な人口を抱える。「北九州で強い営業基盤を築けば、高収益につながる」(地元金融関係者)。ここに、より大きな利益を求めて新たな拠点を作ろうとの思惑だ。

福岡銀行は逆に山口FGの陣営に切り込む

   これに対し、九州トップのふくおかフィナンシャルグループ傘下の福岡銀行(福岡市)は来月、山口県内で12年ぶりに宇部支店(宇部市)を再開する。県境を越え、逆に山口FGの陣営に切り込もうという狙いだ。

   このほか、荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)が統合して2009年10月に持ち株会社「フィデアホールディングス(HD)」が発足した。フィデアHDの本社が置かれたのは、両行の地盤ではなく仙台市。東北全体を視野に入れ、新たなパートナーも引き続き求めていく方針の一環とされる。

   「地域に根ざした金融機関」をうたい、地域密着の姿勢を強調してきた地銀。だが、少子高齢化や長引く景気低迷で、地銀を巡る環境は厳しさを増している。各行の体力が弱まる中、より大きな利益が見込める地域に拠点を移し、営業範囲の広域化を図る動きが今後、強まりそうだ。

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