沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像が国会で限定的に公開された。「中国漁船が体当たりしてきた」のが「一目瞭然」と大臣が主張してきた映像だが、視聴した国会議員の中には、「衝突」の程度・意味合いについて疑問を呈する人もいた。
「(衝突は)明らかに意図的」(自民党の塩崎恭久・衆院議員)、「逃げ惑って当たった印象」(民主党の小林興起・衆院議員)――2010年11月1日、国会内で約30人の議員に限定公開された事件ビデオを見た後の感想だが、両議員は、それぞれ異なる印象を受けたようだ。
「う~む、この程度だったのか」
ビデオは、海上保安庁が撮影した「衝突の2場面」などを限定公開用として6分50秒に編集したものだ。海保ビデオは、前原誠司・国土交通相(当時)が9月16日、捜査にあたった石垣海上保安部を視察した際、「どちらが体当たりしてきたか」「無謀な中国漁船の活動」が「(ビデオを見れば)一目瞭然だ」と断じた代物だ。中国漁船の船長逮捕の正当性を訴えた形だ。
ところが、編集・公開されたビデオを見た議員の反応を見る限りでは、必ずしも、「一目瞭然」というわけではなかったようだ。先の民主・小林議員以外にも「異論」を唱える議員がいる。
ビデオをみた印象を「期待はずれだった」「これが『衝突』なのか」と明かしたのは、田中康夫・新党日本代表だ。ブログ「にっぽん改国」(11月1日夕)で、「豈(あに)図らんや、『う~む、この程度だったのか』が偽らざる印象」「『衝突』『追突』『接触』の何れと捉えるか、批判を恐れず申し上げれば主観の問題ではないか、と思われる程度の『衝撃』」などと指摘した。ほかの複数の出席議員も同様の見解を「僕に呟きました」とも書いている。
また、朝日新聞によると、視聴議員の社民党、服部良一・衆院議員は、「捕まえたこと自体に疑問を持っている」と、中国漁船の船長逮捕についてコメントしている。