ポプラ社「最終選考後まで分からなかった」
今回の小説大賞では、応募に際し、実名や職業などを書いた別紙を添付することになっていた。
ポプラ社の事務局によると、水嶋ヒロさんの職業や略歴の項目は、空欄になっていた。しかし、実名の項目には、本名の「齋藤智裕」と書かれていた。
ネット上などの一部では、ヒロさんの実名が知られていた。確かに、同名の一般人は何人かいるかもしれないが、盗作防止のためのネット検索などで分からなかったのか。
これに対し、事務局では、一貫して最終選考後まで分からなかったとの立場だ。受賞作発表会でも、同社の坂井宏先社長は、本人に会って初めて、水嶋という俳優だと聞いたと説明。受賞について、「13人の選考委員の8割がOKを出した。小説としてスケールが大きい」と正当性を主張した。ヒロさんの小説家転身宣言についても、知らなかったという。
事務局では、職業や略歴は、選考に影響しないといい、特に聞き直すこともなかったとしている。ヒロさんの受賞作は、荒削りと辛口の評価もあり賛否両論だったが、選考委員の二重丸が最も多かったという。
ヒロさんは会見で、研音を退社した経緯も説明した。「決してクビにされたわけではない」として、話し合いの中で俳優業を中心にしないことを理解してもらったとした。「前所属事務所との関係も極めて良好です」ともしている。
新しい所属事務所の「A stAtion」も、受賞にコメントを出し、新しい才能に使ってほしいと、賞金の2000万円を辞退したことを明らかにした。今後については、作家、クリエーター、そして俳優として活動していくとしている。絢香さんの楽曲管理会社がヒロさんのマネジメントをしているとされているが、ポプラ社では、新事務所がその会社に当たるのかどうかは分からないという。