「結婚詐欺」は昔からしばしば起こるが、サクラの女性を大量に雇って男性とお見合いをさせていたとされる結婚相手紹介業者の幹部ら8人が逮捕された。この業者は、数年前から、出会い系サイトの手法を参考に「サクラ」を使った集客手口を考案したとみられている。県の消費生活センターには、逮捕報道後に「私も同様の被害にあった」といった相談が相次いでいる。
問題とされている結婚紹介業者は、富山市内に本拠地を置く「呉縁(ごえん)倶楽部」。富山県警が2010年10月22日に報道各社に対して発表したところによると、県警は同日、「呉縁(ごえん)倶楽部」を経営する「JUICE」(富山市)の64歳女社長や、社長の息子で元副社長の25歳の男ら合計8人を特定商取引法(不実の告知)の疑いで逮捕した。
見合い相手は、自社のアルバイトや女社員
発表によると、女性社長らは09年5月と11月、県内の会社員男性2人に対して「初回は無料」だとして見合いをさせたが、見合い相手の女性は、同社のアルバイトや女社員だった。それにもかかわらず、男性に「相手はもう一度お見合いをしたがっている」「契約すれば会える」と伝えたとされるほか、実際は会員が1300人しかいないにもかかわらず、「会員数は約4000人」などと嘘の内容を書いたパンフレットを渡し、契約させた疑いが持たれている。
被害者の男性2人は約44万円の入会金を支払って入会したが、誰も紹介してもらえず、2人が解約を申し出ると、「中国人なら紹介できる」などと言われたという。
北国新聞などが伝えたところによると、同社は約60人の女性を「アンケートスタッフ」として雇用。会社側は女性に対して、男性の相談に乗るように指示したが、会う相手がお見合い相手だとは知らされていなかった。
社長の息子が実務を取り仕切っていたといい、「『初回無料』とうたって偽の見合い相手と合わせ、『契約すれば、また会える』などとして有料会員数を増やす」という手口も、この息子が出会い系サイトの手口を参考に考えついたものとみられる。出会い系サイトでは、サクラが利用者を「無料で会える」などと勧誘した上で、ある程度サクラと利用者が仲良くなると、別の有料サイトに誘導するケースが相次いでいる。