前原外相「狙い撃ち」と見る向きも
複数の報道によると、福山副長官は、現地時間29日18時30分に首脳会談がセットされたが、直前になって中国側から中止の通告があったことを明かしたという。「クリントン発言」も外相会談の結果も踏まえた上で中国側が会談実施にゴーサインを出したことになり、胡次官補が挙げた中止の理由としては疑問が残る。
前原外相も、外相会談終了後に「首脳会談はハノイで行われることになろうかと思う」と記者団に語ったという。中国の楊外相との話し合いで何らかの手ごたえがあっての発言と思われる。一部では、「対中強硬派」と見られ、尖閣問題に対する一連の中国側の対応に「極めてヒステリック」などと発言していた前原外相を中国が「狙い撃ち」したのではないかと見る向きもあるようだ。
民主党の枝野幸男幹事長代理は30日午前、報道陣に対して今回の首脳会談中止について「中国側に問題がある」と指摘。さらに、日本側から頭を下げてまで首脳会談の再設定をするものではないと話した。一方、米国務省のクローリー次官補は、日中間が対話を継続するよう促した。
こうした事態に、自民党の山本一太参院政審会長は30日朝のテレビ番組で、「中国側の出方を読めないのはアマチュア」と民主党政権を批判した。
そんな中、30日昼になって菅首相と温首相が10分間、非公式に会談したと伝えられた。短時間ながら両首相とも「今回首脳会談が行われなかったのは残念」と話したという。
いずれにせよ、いいように中国に翻弄され、結果的に日本外交の敗北であるのは間違いない。