「区長」を選んで住民の声を反映
こうした中で、大阪維新の会は「大阪都」の実現がもたらす府民のメリットについて、「二重行政をなくす仕組み自体が住民のメリットなのです」と説明する。
「大阪都」の下に置く特別区に、「区長公選制」を導入。選挙で区長を選出して、府民の声が届くようにすることがメリットというのだ。
現在、大阪市内の区長は役人で、予算の裁量も数千万円しかない。大阪維新の会は、「いまでも規模の大きな区は独自で予算を編成すればよく、わざわざ区の上に存在する大阪市に予算編成してもらう必要も理由はない。大阪都構想の実現は、区民(府民)が自らの住民サービスを決められる仕組みにするということ」と主張する。
こうした中、大阪府の自治制度研究会は2010年9月に、「大阪における新たな大都市制度のイメージ図」を明らかにした。この研究会は「大阪都構想とはまったく別の研究会」(大阪府政策企画部)としているが、イメージ図は広域自治体(大阪都)と、住民生活に密着した基礎自治体(特別区)の役割を明確にするという「大阪都構想」にそった内容といえる。
広域自治体では、都市計画や産業・景気、雇用政策といった分野での成長戦略や、広域インフラの整備、病院や大学・高校、体育館など専門性の高い分野などの業務を担い、基礎自治体は府民生活に密着した福祉や子育て、保健・衛生、環境、義務教育、公営住宅、地域の安全と防災などを担うという構想になっている。