グーグルが新サービス「グーグル・ショッピング」を開設した。検索ワードとして製品名を入力すると、商品のラインアップや値段が一覧に表示される。商品名をクリックすれば、出店している業者の販売価格を比較できるサービスだ。
このような「比較サイト」は、価格コムやECナビといった先発組がいる。グーグル・ショッピングは、これら競合する企業にとっては強敵になる可能性が高い。
シンプルなつくり、「表示がめちゃ速い」
グーグルは2010年10月28日付の日本版公式ブログで、グーグル・ショッピングを開始したと発表した。キーワード検索と同じ要領で、探している製品や具体的な商品名を検索窓に入力するだけの、シンプルなつくりだ。例えば「デジカメ」「一眼レフ」と二語で検索すれば、該当の商品がズラリと並ぶ。さらにメーカー名を追加するなどして絞り込める。価格帯や、商品情報を提供している販売業者別に表示させることも可能だ。
既に米国やドイツで、同様のサービスを実施しているというグーグル。今後は、通常のキーワード検索の結果表示でも「ショッピング検索結果」として商品価格情報を表示したり、同社が開発した高機能携帯電話(スマートフォン)向け基本ソフト「アンドロイド」を搭載する機器や米アップルの「アイフォーン(iPhone)」でも利用できるようにしたりと、利便性を高めていくという。
サービス開始直後から、ネット上では話題となった。ツイッターを見ると、「なにより表示がめちゃ速いのがいい!」「なぜ今まで無かったのだろうという感じだけど便利」とおおむね好評のようだが、「このままいくとすべてのポータルがGoogleになるのかな」と、やや警戒する向きもある。
無料の商品情報掲載が脅威か
グーグル・ショッピングの開設に神経を尖らせていると思われるのが、カカクコムなど価格比較サイトだろう。後発とはいえ、既に世界的な知名度を誇るグーグルの参入は脅威のはずだ。
しかもグーグルは、商品情報の掲載を無料とした。ネット上で通販サイトを運営する企業にとっては、グーグルで自社の商品をタダでアピールできるとなれば魅力的だ。一方カカクコムは、商品掲載は有料となる。商品によって、月額基本料金1万500円プラスクリック数に応じた課金というプランか、成約手数料のプランのいずれかに従わなければならない。既に国内最大級の比較サイトとして定着しており、月間2300万を超える利用者に向けて情報を露出できることをウリにするカカクコムだが、今後グーグル・ショッピングのサービス内容が充実していけば、金額面を考慮してグーグルに流れる企業が出てくることも考えられる。
楽天のようなネットショッピングモールも、競合するかもしれない。楽天に出店料を支払う代わりに、グーグル・ショッピングで商品を無料で掲載しようと考える業者も出てくる可能性があるだろう。
グーグル・ショッピングがスタートした10月28日、東証1部に上場するカカクコムの株価は、一時前日比で14%安まで急落。その後やや値を戻したが、終値は前日比5万5000円安の38万円で引けた。