ローソンは2010年10月28日、音楽・映像ソフト販売大手のHMVジャパン(東京・港区)を買収すると発表した。大和証券エスエムビーシープリンシパル・インベストメンツ(DPI)が保有するHMVジャパンの全発行済普通株式を18億円で取得。HMVジャパンをめぐっては、2010年3月にカルチュア・コンビニエンスクラブ(CCC)が買収を表明していたが、買収額で折りあわず破談になっていた。
「当社には、(プレイガイド会社の)ローソンエンターメディアがあり、年間800億円ほどの売り上げがある。アーティストチケット販売においては力を付けたと思うが、そこに、HMVジャパンさんのネットを使ったグッズやCDなどの販売力が加わることで、総合的なエンタテインメントサービスを提供していければ、と考えている」と、ローソンのコミュニケーションステーション広報。
「いまさら、終わっているコンテンツを買ってどうする?」
ただ、音楽CD生産額についてはこの数年、大幅な減少傾向にある。日本レコード協会の調べでは、2009年の音楽CD生産額は2460億円で、10年前(1999年、5513億円)の半分以下だ。
今回の買収発表に対するネットの反応は速く、関心の高さをうかがわせたが、
「いまさら、終わっているコンテンツを買ってどうするのか」 「(18億は)糞高い。HMVは撤退したがってたから、ローソンはカモネギ」
といったネガティブなコメントが目立っている。だが、同社広報では、
「HMVさんの470万人の会員に、当社のPontaカード会員約2500万人(2010年8月時点)を加え、高いブランド力・販売網を形成していきたい」
と、あくまでも前向きな姿勢を見せている。
2010年3月、セブン&アイ・ホールディングスが、やはり音楽・映像ソフト販売大手のタワーレコードに出資し、持ち分法適用会社にしているだけに、今後、コンビニ大手2社によるネット通販音楽ソフト販売競争の激化は必至だ。
セブン&アイ・ホールディングス広報は、
「タワーレコードさんとは、各エンターテインメント分野での情報共有を進めており、イトーヨーカドーや、『ぴあ』さんにも協力いただいての販売構想をまさにいま検討しているところ。いずれにせよ、これからのコンビニは、物販はもちろんのこと、サービス、エンタメ分野を強化していかなければならないと考えている」
と話している。