民主党の目玉である事業仕分けが「特別会計」(特会)に踏み込んだ。事情仕分けが国民の関心を集めて、様々な議論が国民の前に明らかにされるのは、明らかに望ましい。事業仕分けの公開性は評価できる。
特会については、いろいろないわれ方がされてきた。各省のポケット、国会審議のされない聖域、伏魔殿などなど。これらは一面をとらえているが、中途半端な理解では、事業仕分けによって達成すべき制度改正にはほど遠い。
特会を一般会計にいれるとドンブリ勘定ひどくなる
たとえば、特会は国会で審議されないと思いこんでいるマスコミが多い。しかし、制度としては特会と一般会計は、ともに予算の一部となっており、国会でまったく同じ扱いである。こうした誤解をするマスコミは一般会計予算書とともに特別会計予算書なんて見たことないだろう。ともに国会に提出される1000ページくらいの公式書類である。
予算の報道は、ほぼすべて役所側がマスコミ用に配布する要約資料におおきく依存している。それは一般会計と特会の役所にとって都合のいいことだけが書かれており、それを記事にしているだけだ。しかも、特会のところはわかりにくいから記事にならず、結果として一般会計の一部が記事になる。国会議員のほうも情けないことに、一部を除いて、マスコミ報道されたわかりやすいところを質問する。マスコミがわからないところは報道されないからだ。
特会がわかりにくいのはその事業内容だ。特会は、「トンカチ」と「カネ」に分けられる。前者は、社会資本整備事業特会、つまり道路、治水、港湾、空港、都市開発の公共事業だ。後者は保険、金融、資金系特会で、財政融資、国債整理基金、外為などが代表的だ。トンカチのほうが目に見えるので理解しやすいが、カネは抽象的で知識も必要なので難しい。たとえば、トンカチは視察できるが、カネはやりようがない。
こういう事情なので、事業仕分けでは、いきおい「特会の統合」や「特会を廃止して一般会計への移管」という何の意味もないが、マスコミ的には見出しになることに傾きがちだ。特会を廃止して一般会計に移管すると国会で質問が増えるというマスコミもいるが、それが的外れなのは既に述べた。じつは、特会のほうが予算の情報量が多い。一般会計にいれるとドンブリ勘定になるだけだ。