車向けリチウムイオン電池は両社が手掛ける
三洋の小型モーター事業は100%子会社の三洋精密(長野県上田市)が製造しており、三洋精密の約300人の雇用は日本電産が引き継ぐ方針という。三洋は日本電産による雇用維持を評価し、最終的に売却を決断したとみられる。トップシェアを誇ったものの、ジリ貧の事業を手放したい三洋と、その事業再生でさらなる飛躍を目指す日本電産の思惑が合致した形だ。
不採算の赤字事業の整理に目途をつけたことで、三洋は懸案となっているパナソニックとの重複事業の見直しを本格化させる。白物家電はパナソニックブランドに統一する方針だが、白物家電を手掛ける三洋コンシューマエレクトロニクス(鳥取市)や三洋アクア(大阪府守口市)などの製造拠点をどうするか――などが焦点になる。洗濯機や冷蔵庫など、両社の役割分担をどうするのかなど、調整が必要となる課題は多い。
さらに注目されるのは、三洋が強みを持つ太陽電池やリチウムイオン電池などを活用した環境分野の戦略だ。次世代のハイブリッドカーや電気自動車(EV)など自動車向けのリチウムイオン電池は両社が手掛けており、重複を避けながら、いかに相乗効果を高めていくか。パナソニックが三洋を完全子会社とする最終目標はそこにあり、真価が問われることになる。