地元でも「信用できなくなった」などの批判
実際、コトはすでに鳩山前首相個人の問題ではなくなってきている模様だ。「軽々と前言を撤回するということは、鳩山氏がつくった民主党の発言は信用ならないということ」(石破茂・自民党政調会長)、「民主党とは言葉をかくもぞんざいに扱う政党なのか――と、世間はほとほとあきれよう」(10月26日付読売新聞朝刊「編集手帳」)など、民主党の信用問題に発展しつつあるようだ。
民主党の問題どころか、鳩山前首相の発言にあった「国難」を捉え、むしろ鳩山氏の引退撤回こそが新たな国難だ、と指摘するのは、政治評論家で元時事通信編集局長の杉浦正章さんだ。近著に「諫める―亡国の政治に警鐘」(共著、早稲田出版)がある。
杉浦さんに電話取材すると、「(鳩山前首相が)『国難といえる時に…』という発言をしたが、鳩山さんの存在自体が日本にとって国難になっている」と指摘した。
鳩山氏は首相在任時、米軍普天間基地移設問題を「くしゃくしゃに混乱させ」、母親からの「鳩山家版子ども手当て」では「政治とカネ」の不信感を増幅させた。首相退陣後も「盟友」小沢一郎・元代表と菅首相との争いとなった民主党代表選を巡り、「調整役」なのか「混乱助長役」なのか不明な立ち回りも結果的に披露した。これ以上の「首相経験者」鳩山氏の「活躍」は、かつて鳩山氏自身が指摘したように、国政混乱を促すだけではないか、というわけだ。
杉浦さんは「参院選や衆院北海道5区補選での民主党敗北の大きな要因を作り出した、盟友小沢さんとともに2人は政界を引退すべきでしょう」と勧告した。
室蘭民報(ウェブ版)は10月26日、鳩山氏の地元室蘭市民の声として、引退撤回への歓迎論や「応援していたが信用できなくなった」「約束通り引退すべきです」などの批判を合わせて紹介している。