原盤権がレーベル側にある取り決めの可能性
ユニバーサルの担当者によると、海外盤の発売は、レーベルからの要請を受けて、日本では、同社から販売することにしたのだという。宇多田ヒカルさん側と行き違いがあったのかについては、「アーティストとレーベルの交渉の話ですので、どういうことがあったのかは分かりません」とだけ答えた。
ただ、日本での販売については、「契約上は、何の問題もありません」と主張している。
ミュージシャンとレコード会社との対立は、過去にもいくつか例がある。
ドリームズ・カム・トゥルーのベスト盤が1997年に発売されたとき、メンバーが本意ではないと怒って、ファンらに購入を控えるよう呼びかけたことがある。また、スピッツも99年、「ベスト盤を出すのは解散するとき」とその発売に抵抗し続けた。
日本レコード協会の広報部によると、原盤権がレーベルなどにあれば、ミュージシャンのコントロールがきかず、レーベルの有利にことが運ぶことがあるという。ドリカムのベスト盤発売では、レコード会社を移籍したものの、原盤権が前のレコード会社にあったという事情があった。
ヒカルさんのケースについては、原盤権がレーベル側にある取り決めになっていたのではないかとみている。もっとも、ミュージシャンによって契約内容は様々で、原盤権をレーベルと分け合うことなどもあるという。
ヒカルさんの国内盤を出すEMIミュージック・ジャパンでは、「ご本人や所属事務所とユニバーサル側との問題だと思いますので、コメントできる立場ではありません」と話している。
ちなみに、アマゾンでは、国内盤は2010年10月25日夕時点で、音楽のベストセラー7位に入っているものの、海外盤は101位になっている。