「こんな理不尽な要求をされたことはなかった」
中台問題の板挟みになった形なのが映画祭の事務局だが、「落としどころ」を上手く見つけきれなかった様子で、
「中国側の役者さんや監督も『歩きません』という気持ちではなかったと思います。主催者としては、(中台)両方に歩いて欲しいという立場なので、両方が納得できるような折衷案を模索してきました。例えば、『台湾の名前ではなく、作品名を掲げて歩く』といったことです。でも、片方が納得したとしても、もう片方が納得しない。そうやってもめている間に、17時の時点で『時間切れ』になってしまいました」
と、無念そうだ。
トラブルの発端になった中国の江団長は、環球時報に対して、
「主催者が『ひとつの中国』の原則を守らなかったため、中国代表団が映画祭の関連イベントからの撤退を決定したのは遺憾。この問題は、台湾の同胞とは関係ない。東京の事務局の落ち度だ」
などと主張。自らのクレームを正当化した。だが、事務局側は、
「これまでも『台湾』の名称は使ってきたが、何の問題もなかった」
と反論している。クレームがイベント開始の直前だったことにも困惑している様子だ。
また、中国時報によると、台湾の陳団長は、
「これまでも多くの国際映画祭に参加したが、こんな理不尽な要求をされたことはなかった。我々の映画は、ASEAN諸国、欧州、米国といった中国語圏をターゲットにしている訳であって、中国大陸だけがターゲットなのではない」
などと憤っていたという。
事務局によると、映画祭2日目以降は、予定通りプログラムは進んでいるという。