大人のための気軽な「自習室」 オフィス外でも「お仕事、お勉強」

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   大人のための「自習室」が秘かな人気を呼んでいる。「自習室」というと受験生が予備校などで利用するのを思い起こすが、この自習室はビジネスパーソンらが仕事帰りなどに、ゆっくり勉強したり、翌日仕事で使う資料をつくったり整理したりするのに使っている。

   デスクを仕切り板で分けられたブースから豪華な個室まで、スペースの種類も豊富。また、最近は飲み物を無料で提供してくれたり、24時間いつでも使えたり、女性専用だったりと、「自習室」も多様化していて利用者も増えている。

社会人の「学習意欲」を支援する

社会人が「学ぶ」ための自習室が増えている(写真は「アカデミーラウンジ池袋」)
社会人が「学ぶ」ための自習室が増えている(写真は「アカデミーラウンジ池袋」)

   事務用品のキングジムは2010年7月に、新規事業として「自習室」の貸し出しを開始した。東京・池袋にある「アカデミーラウンジ・池袋」がその第1号。オープン後3か月で、当面の目標である150人の会員数のうち3分の2超を獲得。「利用は順調に増えています」(新規事業企画部)と、事業拡大へ自信をみせる。

   コンセプトは「気軽に使える自習室」。事務用品のメーカーとして、ビジネスパーソンを支援するための事業としてプランをまとめた。喫茶店やファミリーレストランで資格試験の参考書を読んでいたり、仕事の資料に目を通していたりするビジネスパーソンを見かけることがあるが、「そういった人に気軽に使ってほしい。そのため料金システムに、スポーツクラブのようなタイムシェアを導入しました」という。

   利用方法は月ぎめ会員制で、自由席。平日昼プラン(月額7140円)と夜プラン、休日プラン(それぞれ、同8190円)、社会人応援プラン(平日夜プラン+休日プラン、同1万3440円)を用意した。昼間はフリーランスなどが仕事で利用するケースが少なくないが、「レンタル・オフィス」でないのが同社のこだわり。設備もコピー機、固定電話やファクシミリはなく、パソコンも検索用に1台が置いてあるだけ(持ち込みのノートPCの使用、またラウンジでの携帯電話の使用は可)。

   その代わり、飲み物が無料で軽食がとれるラウンジを設けた。シンプルな分、料金設定もリーズナブルにした。同社は「社会人の学習意欲を支援するための『自習室』です」と話している。

残業抱えるビジネスパーソンが利用?

   中央区銀座という一等地にも「自習室」はある。「ベンチャーデスク銀座」は、ビル賃貸業を営むオーナーが自己所有するビルを「提供」している。月ぎめ会員制で、利用料は月額2万5000円、4万円、6万円の3コース。固定電話やインターネットを無料で使えるほか、財務や登記の仕方、ホームページの作成の相談にも応じるなど、ビジネスパーソンの多様なニーズに対応できるようにしている。

   横浜駅西口にある「プラスルーム横浜」は、女性専用スペースを設置した有料自習室。「女性専用」も増えていて、「ルシール」は代官山や恵比寿、神保町に店を構えている。

   新宿駅と・代々木駅に近い「自習室クレスト」は、予備校の「医学部受験のクレスト」が運営。月ぎめ会員制で、24時間利用できるのが「売り」だ。

   三田にある「自習室ビズトレ」は、月ぎめコースもあるが1時間300円の時間貸しもしている。パソコンやネットは使い放題。学習教材を用意していて、勉強のための「自習室」。IT関係の資格取得をめざす社会人の利用が多いそうだ。

   ビジネスパーソンが利用できる有料自習室は最近増えてきており、東京都心部に50か店以上あるとされる。増加の背景には、設備投資が少なくて済むことや遊休不動産の活用という側面や、一方で、職場で残業できなくなったビジネスパーソンが仕事を抱えて「自習室」を探し歩くことが増えたといった事情もあるようだ。

   ネットで事前に空き室情報が確認できる自習室もあり、どこも7割程度が埋まっているような状況だ。

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